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存在

朝が来ても俺の気分は晴れなかった。 学校に行くのも億劫だったが、結局登校した。 最悪の気分だ。 身体がだるいし気晴らしに音楽を聴いてもダメ。 イヤホンから流れる音を大きくしても、嫌な気分は直らない。 なんでこんなにすっきりしないんだ。 こんな気分になるんだったら昨日の誘い、さっさと断ればよかった。 そうしたら……… そうしたら、お前は出てこなかったんだ。 お前が出てこなければ、あのまま終わるはずだったのに。 なのにどうして。 どうしてお前は—。 俺は前を歩く奏斗の背中を見て乱されたような気分に苛ついて、また今日も同じことを繰り返す。 人気のない校舎裏に連れて、同じヤツらがお前を好き放題に扱って、お前はいつも死んだような目をしてその痛みを受けるだけ。 それが俺を見ると激しい怒りを持って睨みつけるのも同じこと。 俺は何故かその目を見ると、満足したような気分になる。 アイツはきっと他のヤツらなんて見てない。 俺しか見えていないんだろう。 そう思うと、気分がよくて嬉しいような気さえしてくる。 でも、消えて欲しい。 俺の中から消えて欲しい。 俺の世界から消えて欲しい。 その存在がずっといると、俺はいつも内側から何かを壊されるように感じるから。 だから、 「 さっさと消えてくんねえ? 」 俺はお前が、嫌いだ。

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