14 / 111
存在
朝が来ても俺の気分は晴れなかった。
学校に行くのも億劫だったが、結局登校した。
最悪の気分だ。
身体がだるいし気晴らしに音楽を聴いてもダメ。
イヤホンから流れる音を大きくしても、嫌な気分は直らない。
なんでこんなにすっきりしないんだ。
こんな気分になるんだったら昨日の誘い、さっさと断ればよかった。
そうしたら………
そうしたら、お前は出てこなかったんだ。
お前が出てこなければ、あのまま終わるはずだったのに。
なのにどうして。
どうしてお前は—。
俺は前を歩く奏斗の背中を見て乱されたような気分に苛ついて、また今日も同じことを繰り返す。
人気のない校舎裏に連れて、同じヤツらがお前を好き放題に扱って、お前はいつも死んだような目をしてその痛みを受けるだけ。
それが俺を見ると激しい怒りを持って睨みつけるのも同じこと。
俺は何故かその目を見ると、満足したような気分になる。
アイツはきっと他のヤツらなんて見てない。
俺しか見えていないんだろう。
そう思うと、気分がよくて嬉しいような気さえしてくる。
でも、消えて欲しい。
俺の中から消えて欲しい。
俺の世界から消えて欲しい。
その存在がずっといると、俺はいつも内側から何かを壊されるように感じるから。
だから、
「 さっさと消えてくんねえ? 」
俺はお前が、嫌いだ。
ともだちにシェアしよう!