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蹂躙
二人の間に少しの距離が空くと、奏斗が少し恥ずかしそうに笑っている。
その顔を見た途端、黒い何かが俺を覆った。
男と別れて奏斗は歩きだしたのを見て、近づき、その腕を掴んだ。
「いっ…!」
振り返って俺を見ると、驚いたようにその眼が一瞬大きく開いた。
「なに…」
でも、そんなの知らない。
俺は腕を掴んだまま進んだ。
「なっ…離せよ?!おい!」
奏斗は腕を払おうとしたり、必死に抵抗していたが、構わなかった。
空き教室に奏斗を乱暴に押し込むように入らせ、中から鍵をかけた。
「おい、なんで鍵…っ」
「あれ、誰」
「……は?」
「今の男、誰だって聞いてんだよ」
「お前には関係ない」
「—ッ!!」
どこかでプツリと切れた音がした。
奏斗の全てが憎らしく思えてくる。
髪を思い切り掴んで、そのまま机に顔を押し付けると、奏斗は痛みで顔を歪ませる。
「ぐっ…!」
「ああ、関係ねえよ。でもな、お前のその幸せですって顔を見ると吐き気がするんだよ」
何もかも気にいらない。
ズタズタに、
ボロボロにしないと気が済まない。
「 壊してやる 」
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