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蹂躙 3
俺は暴れる奏斗の身体をうつ伏せにして押さえつけ、無理矢理そこへ突っ込んだ。
奏斗の絶叫にも似た苦しそうな声が聞こえたのはすぐだった。
「あ゛ッ…ああーっ!!…い゛ッ…」
「…うっ…キツ……」
ナカはキツくて、ギチギチと音がしそうなくらい。
慣らしていないから当然だ。
「はッ…はぁっ……い、痛っ…い」
奏斗は本当に痛そうにしていた。
あまりの痛さに声を我慢することが出来ないようだった。
血、出ているんだろうか。
気になったが、俺はそのまま腰を動かした。
「いッ…!あっ…痛っ!!」
「は…力抜け、よ!」
「いたいッ……やめっ、ろ…っ!」
シャツのボタンは全部はずれているため、奏斗が暴れる度にどんどん乱れていく。
その時、見つけてしまった。
首筋に付けられた鬱血痕。
「—ッ!」
頭に血が上ったような感覚だった。
気がつくと、俺はその鬱血痕に思い切り噛みついていた。
「ああッ!!い゛ぁっ…!」
許さない。
カナは俺のものなのに。
「カナ」と呼んでいたのは俺なのに。
痕を付けることを。
「カナ」と呼ぶことを許したコイツも許さない。
感情に溺れそうになったその時、奏斗が何かを言っているのが聞こえた。
「嫌だっ……きたみ、さ…」
「は…?」
「…ったみさん……北見さんっ…」
「…ッ…黙れって言ってんだろっ!!」
「あッ!」
名前だった。
多分、あの男の名前。
ムカつく。
他の男の名前を出されたのが気に食わなくて、俺は容赦無くナカを突いた。
「ああッ…あっやだ…イヤだ、ぁっ!」
「くそっ…!」
本当はずっと前から分かってた。
なんでこんなにイラつくのか。
どうしてカナを一人にしたのか。
あの身体の中から湧き出る黒いドロドロとしたものの正体が何なのか。
俺はカナが好きだった。
ずっと好きだった。
独占したかった。
誰にも渡したくなかった。
カナを、
俺だけのものにしたかったんだ。
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