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もう、遅い
「あっ……!」
「…うっ…」
身体を引かず、カナの中で果てた。
「はっ…はぁっ……」
モノを抜くと、白濁液が中から少し流れ出てきた。
真下にあるのはぐったりしている身体と虚ろな表情を浮かべた顔。
強く噛みすぎたのか、唇からは血が出ている。
「あ…」
それを見た瞬間、一気に身体が冷えた。
冷たさに耐え切れず俺はカナを一人残して、逃げるように教室を出た。
中から出てきた少量の白濁液とカナの虚ろな顔を見た時、サッと血の気が引いた気がした。
自分がとんでもないことをしたと思った。
「……っ、」
俺は、なんてことをしたんだ。
あんな顔させて…………違う。
それはもう、ずっとずっと前からだ。
どうしよう、俺は……。
『俺はカナが好きだ』
今更気づいた。
本当は薄々気づいていたのかもしれないと、今ではそんなふうにさえ思える。
でも認めたくなかった。
だって、「そうじゃない」と思いたかったから。
もう何も変わらない。
取り返しなんてつかない。
俺はカナをボロボロに傷つけたから。
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