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罰
「倉橋くん!」
「ああ、ちょっと待ってて」
呼ばれて、俺は帰る準備を始めた。
すると、
「…おい、あの子倉橋の彼女?」
「可愛くね?」
まだ彼女というわけではない。
でも、そうなるんだろうか。
昨日あの後、霧島は俺のことが好きだと言った。
「あの…」
「…えと…返事はすぐじゃなくていいの……。あたしもまだ倉橋くんのこと全然知らないし…でも、これから…一緒に帰ったり、してもいい……かな…?」
カナのことが好きだと分かってもそれが実を結ぶことはない。
カナはきっとあの男といて幸せを感じている。
俺なんかに「好きだ」と言える資格はない。
「…うん……いいよ」
邪魔をしてはいけない。
「でね、そのお店、ケーキバイキングなんだけどすごく美味しいんだって」
「行ってみる?」
「倉橋くん、甘いもの大丈夫なの?」
「甘いもの結構好きだよ」
この気持ちは、忘れなければいけない。
「ごめん、今日委員会があって一緒に帰れないんだ…」
「え、そうなの?待っててもいいけど…」
「遅くなるみたいだから先帰っててもいいよ」
「分かった。じゃ、また明日な」
「本当にごめんね」
「いいよ、委員会頑張れ」
俺がそう言うと霧島は小走りで戻っていった。
本当に忙しいんだな…委員会。
なんていうか、真面目だなー…。
だけど素直で一生懸命なところはかわいいと思う。
………好きになれそう、かな。
俺も帰ろうかと玄関へ向かった、その時だった。
「直」
振り向いたらダメな予感がして、後ろめたさを振り払いたかった。
でも身体は自分の意思とは反対に、何故か自然と後ろを向いた。
どこかで無駄だと分かっていたからかもしれない。
振り向くと、カナがいた。
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