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泣き顔

翌朝、目を開けるとやたら視界がグルグルしているように感じた。 身体が怠くて、頭も痛い。 風邪か…? とりあえず下に降りようとベッドから起きたが、足がふらついてまともに歩けない。 「ちょっとあんたいつまで寝てんの…って、大丈夫?」 下に降りて来ないのを寝ているからと思い起こしに来たらしい母親が、ふらついている俺を見て驚いていた。 母親が体温計を持って来て測ってみると、38度あった。 どおりで足がふらつくわけだな…。 「今日は学校休みなさい。薬飲んで寝てなさいよ」 「…ん」 まあ、ちょうど良かったのかもしれない。 元々学校に行く気分でもなかったし。 「…そういえば昔あんたの風邪、奏斗くんにうつったことあったわねー」 「……は?」 「あんた、熱があるのに全然しんどそうじゃなくて、『カナと遊ぶー!』って言って出かけたのよ。そしたら、次の日に奏斗くんが熱で欠席したでしょ?」 「…そんなことも、あったっけ」 「心配でお見舞いにも行ってたでしょ」 そうだ。 カナが休みだって聞いて、すぐに自分のがうつったと分かって「どうしよう」って思った。 ただ風邪で熱が出ただけなのに、学校が終わるとカナの家に行ったんだっけ。 「奏斗くんとは最近話してないの?」 「え…?」 「あんまり奏斗くんの話聞かないから…」 心臓がドキリと跳ねた。 「いや……そんなことないよ」 「そう?ならいいけど」 つい嘘を言ってしまった。 「じゃあ、お母さん下にいるから」と言って母親は部屋から出て行くと、俺は頭まで布団を被った。 何も考えたくないから。 今までのことも、あの夢のことも、全部。

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