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報せ
目が覚めると、昨日は重く感じていた身体が大分軽くなっていた。
熱は下がったようだ。
「はぁ……」
昨日はやけに夢を見る日だったな…。
一つは全くと言っていいほど内容を覚えていないし、一つは妙にはっきりとした夢だ。
…なんだ、あの夢。
アイツが上に乗って腰振ってる夢とか……まるで、欲望の表れみたいだな。
「…はッ」
自然と自嘲の笑みがこぼれた。
「あ、おはよう。体調はどう?しんどくない?」
下に降りると、母親がテレビを見ながら朝食を食べていた。
「おはよう。もう大丈夫」
「そう、良かったー。直にしては珍しいことだったから、ちょっと心配してたのよね」
「別に心配するほどのことじゃないだろ…」
「子どもじゃあるまいし」と思いながら俺は朝食の準備を始めた。
「確かにそうだけど…。あ、そうそう。
今日奏斗くんに会ったらお礼言いなさいよ」
「は?」
お礼?
って何のこと?
「『は?』って…もしかしてあんた知らないの?」
「何が…?」
「奏斗くん、昨日あんたの様子見てくれてたのよ」
カナが家に来た……?
「まあ、あんたがずっと寝てるから、多分少ししたら帰ったのかしらね。お母さんの分もお礼言っておいてね」
「あ…分かった……」
あれは、本当は夢じゃなかった……?
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