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報せ 2
いや、そんな訳が無い。
あんなことが現実に起こるなんてあり得ない。
でも、あの光景は夢にしては妙にはっきりしているような気もする…。
そもそもカナが家に来たってなんだ?
「様子見てくれた」って…そんな理由で来たとは考えにくい。
何か他の理由が……?
「……分かんね」
本当に分からない。
俺は悶々としながら家を出た。
教室にカナの姿は無く、少しホッとした。
お礼を言っておいてとは言われたが、それでも顔を合わすのに勇気が必要だった。
チャイムが鳴り、担任が教室に入ってくる。
1時限目は担任が担当している教科だ。
「みんな、聞いてくれ」
担任の声に周りはシンと静まる。
普段は号令から始まるのに。
いつもと違う言葉を聞いて、変に胸が騒ついた。
「柊が昨日の夜、交通事故に遭った」
……………は?
今…なんて?
「頭を強く打ったらしく、意識不明でまだ戻っていないそうだ」
頭の中が真っ白。
理解できねー…。
ていうか…意識、不明…。
まだ、戻ってないって…………カナが…?
「……おい、倉橋!」
担任の口から病院の名前が出た瞬間、俺は席を立って教室から出ていた。
まだ話の途中だとか、そんなのはどうでもよかった。
ただ全力で走った。
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