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雨の中の光

身体中が、痛い。 いつの間にか雨が降っていて、でも気にせずにただ歩く。 今の自分は、どれほど惨めな姿をしているんだろう。 汚れた制服で、ずぶ濡れで。 「ねえ、君一人なの?」 一人…? ……そうだね、一人だよ。 昔から、ずーっと。 「おじさんと遊ばない?」 遊ぶってなにして…? 「ちょっとだけでいいから。お金はいくらがいいかなぁ?」 お金…? 「すみません。この子と待ち合わせしていたんですが、何かご用ですか?」 突然クリアに聞こえた声にはっと顔を上げた。 目の前には、スーツを着た男の背中があった。 「…いっ、いや何もっ……!」 俺の前にいたらしい中年の男は逃げるように去っていった。 「君、大丈夫?ああいうのには気をつけないと」 「……すみません」 ……俺、今あの人に何処か連れて行かれそうになってたのか? 自分のことなのに他人事みたいに感じた。 ……この人…俺を助けてくれたのか。 ………他人だからだろうな。 もし高校の奴らが見てたら、それこそ放っていくだろうし…… 「これ、使って」 その人はいきなりそう言って、傘を差し出してきた。 「えっ……でも、」 「別にいいよ。あげる」 半ば押し付けるように俺に傘を持たせ、その人は行こうとする。 だけど、すぐにこちらを振り返った。 …なんだ? 「…よかったら、家においで」 普通なら、知らない人に「おいで」と言われても行かない。 でも、俺はその人に着いて行った。 迷惑になるのにと分かっていても足が止まることはなかった。

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