70 / 111
安らぎの場所 3
寝室へと移動して、ベッドに座って触れるだけのキスをする。
北見さんは俺のシャツのボタンを外し、はだけさせると肩に唇を寄せた。
「…ッ、」
「……まだ傷跡が残ってる」
「でも、だいぶ治ってきたよ。痛くないし…」
「今日も増えただろ?無理させないようにする…」
そんなこと、気にしなくていいのに。
「…んッ」
またキスをした。
今度は、深いもの。
「奏斗くんのことが、好きなんだ」
そう言われたのが、数週間前。
正直戸惑った。
どういう意味を含んでいるのか分からなくて、驚きのあまりしばらく何も言えなかった。
「ごめん…。やっぱりおかしいよな、忘れてくれ」
「…待って」
出て行こうとする背中を、呼び止めた。
「…好きって、どういう意味の『好き』ですか」
「……恋愛感情。俺は…君が愛しいと思ってる」
少し躊躇うような表情をして、でもはっきりと言われた。
この人の言ってることは、嘘じゃないと思った。
だから、聞いた。
「じゃあ、北見さんは俺のこと、欲しいって思っているんですか?」
「…思ってるよ。奏斗くんのことが好きで、君の心も欲しい。おかしいかもしれないけど…」
よかった。
「おかしくない…だって俺も、同じだから」
側にいてくれる。
それからは、次の日が休みの夜は、身体を重ねるようになった。
どんなに痛めつけられても、辛くない。
俺には、この人がいるから。
「……んっ…ぅ、」
全身を優しく愛撫され、指で蕾をほぐされる。
ゆっくりと、壊れ物を扱うように。
「大丈夫…?」
「……うん……だい、じょうぶ…」
「そう、よかった…」
ナカで動いている指が、ある場所を撫でた。
「ふっ…ぅんんッ…!」
腰がビクッとして、下半身が疼く。
北見さんはそこを集中的に攻めてきた。
「あッ……はぁ、あ…ああっ…」
「…カナは、ここが好きだよね」
そう言いながら、俺をどんどん高みに連れていった。
性器にも刺激を与えられ、快感の波は大きくなる。
「ぅ…あ、…ああッ」
強めに前立腺を擦られ、甲高い声が出てしまった。
「そろそろいいか…」
中を解していた指が、ずるっと引き抜かれる。
ローションと指で慣らされた場所に、熱いモノが触れた。
「力抜いてて…」
「ん、はぁ………あぁっ」
息を吐いて、すぐにそれは中を埋めていく。
ゆっくりと、俺を満たしていく。
「は、ああ…っ」
最後まで入った。
お腹の辺りが熱くて、苦しい。
けれども満たされて、嬉しくなる。
求めてくれている。
「あ、あっ、はぁっ…」
「…カナ……カナっ」
何度も擦られて、名前を呼ばれる。
満たされる。
でも、足りないよ。
まだ…。
「…ぁッ、…もっと……もっとぉっ…」
「カナ…かわいい……好きだ…!」
「は、んッ……俺も、」
俺も、貴方を求めてる。
「やっ、はぁっ…も、…ああっ」
「は、…イキそう?…俺もそろそろ、出そッ…」
「きた、みさ…はあっ、一緒がい……」
一緒にいて。
だから、俺を求めて。
「ん…あ、はぁッ…は、ああッ…!」
「……ッ!」
俺を、—にしないで。
後片付けを済ませて、服を着て二人でベッドに入る。
いつものように、北見さんは俺を抱きしめてくれた。
それに酷く安心して、瞼が重くなり始める。
「疲れた?……おやすみ」
額に軽いキスを落とされる。
言葉を発するのも億劫で、代わりに強く、俺は服にしがみついた。
ともだちにシェアしよう!