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邪魔者
それからのあいつは見ていて面白かった。
また嘲笑ってくるかと思えば、全く違う顔をしていた。
余裕なんて消えていて、目が合えばすぐにそらす。
その顔を見れば「罪悪感」という言葉が頭に浮かんだ。
悪いことしたって思ってるんだ。
……へえ、意外。
そんなこと思ってるなんて。
なんだか初めて自分が上に立っているようで気分が良かった。
けれど、それは錯覚だった。
久しぶりに北見さんと出掛けた時、入った店に直が女と一緒にいた。
理解した途端、まるで高い場所から突き落とされたかのような感覚がした。
………なんだ。
上に立っているだなんてただの思い込みだった。
俺は所詮あいつの玩具に過ぎない。
あれも、女の代わりに利用された?
結局上手くいって、あいつは幸せになってるって?
……あははは。
なんか、笑えてくる。
これからあいつがあの女と恋して、一緒になるのか。
そんなことさせるわけないだろ。
誰がお前なんか幸せにするもんか。
忘れたとは言わせない。
俺が味わった苦痛を、お前にも与えてやりたい。
泥の中に引きずり込んでやる。
これからはお前が俺の玩具だ。
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