79 / 111
復讐
『お前のその幸せですって顔を見ると吐き気がするんだよ』
今ならその言葉に同感できる。
確かに全てを壊したくなる。
だから、いいよな?
「遅くなるみたいだから先帰っててもいいよ」
「分かった。じゃ、また明日な」
「本当にごめんね」
簡単に一人になるんだ。
好都合だ。
互いを信じているのかもしれないけど、それも壊してやるから。
「直」
逃げられるかと思ったけど、そんなことはなく直は振り返った。
その顔はなんとなく怯えていて、俺を楽しい気分にさせた。
「さっきの子…可愛いね。……素直って感じがして」
「………」
何も言わない。
「……ちょっと来て」
腕を掴むと直は身体を震わせたけど、抵抗もせずおとなしくついて来た。
良かった。
罪悪感は消えてないみたいだ。
それでいい。
そのままでいい。
俺は心底安心した。
「……直、欲求不満だったんだな」
「……………は?」
何言ってるんだ、って顔してる。
その顔がちょっとマヌケで、笑いそうになった。
何か間違ったこと言ったっけ。
「だから俺のこと襲ったんじゃないの?」
「ちがっ…」
「違うの?」
別に今更否定しなくていいのに。
「まあいいや。どうでもいいし」
そんなこと、本当にどうでもいい。
これからは俺が遊ぶんだから。
近づいてズボンに手をかけると、驚いたように直の身体は跳ねた。
ともだちにシェアしよう!