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疑心暗鬼と幸福 6
グチュグチュ、と淫猥な音を聞きながら手を動かす。
「ん…んん、ふあっ……」
「はぁ…、……んー…」
その間もいっぱいキスをした。
最初にした、合わせるだけのキスも。
口内を掻き回される深いキスも。
お互いの性器を擦り合わせて一緒に扱いて、それも気持ちよくて。
「んぁ…はーっ…、ぁあ……!」
「はあッ…、ぅ…」
唇を離すと、ナオも一緒に扱きだした。
「ふっ…ぁ、ああッ…ん……」
一緒にすると、さっきよりも気持ちよくなって手が止まらなくなってくる。
先走りが溢れていて、どちらのものなのかもう分からない。
また唇を塞がれて声はくぐもり、呼吸も難しくなった。
その間も手は止まらずに、寧ろ速くなっていく。
「んん、んッ、…ふぅっ……!」
もう、イく……!
そう思った瞬間、身体がビクンッ、と跳ねた。
「……ぅ、はッ、…はー、はーっ…」
痙攣している身体で、息を吸う。
「イったな……」
ナオはまだイっていなくて、上から俺を見ていた。
「カナ、イった後の顔…すげえ可愛い」
「ん……、ふぁ…っ」
開いた口にナオの舌が入ってきて、柔らかく口内を撫でていく。
髪を撫でられる心地よさに浸って、俺も少し硬いナオの髪に指を通して自分の方へと寄せた。
キスがこんなに気持ちよくて幸せなものだとは知らなかった。
嬉しくて、幸せな気持ちになって、何回でもしたくなる。
知ってしまったらもう絶対離れたくないと考えてしまう、怖いくらいの幸福感。
それを噛み締めるように味わった。
「んっ……、後ろ…慣らすものある…?」
掠れた声で聞かれ、これから起こることに期待しているように胸が高鳴る。
でもそれは知られたくなくて、出来るだけ平静を装って答える。
「そこの引き出し……ローション、入ってるから…」
そう言うと、ナオは引き出しからローションを取り出した。
俺の膝に手を置いて、軽く開かせる。
ローションの蓋を開けて手のひらに垂らすと、すぐに指を入れることはせず、そこに塗り付けていく。
「……ッ、…はぁ」
ぬるぬると滑る感覚。
なんだか焦らされてる気さえしてくる。
「指、1本だけ入れるから」
「んああぁ……ッ!」
間髪入れずに指が入ってきて、上擦った声をあげてしまった。
「痛かった?……って、…大丈夫そうだな……」
心配そうな顔をしたけど、ナオはすぐに笑みを浮かべた。
入れた指を抜いて、また入れて、抜いてを繰り返す。
「中、吸いついてくるみてー……、」
「…んぅ……あ、…んんっ…」
「カナ…ここ。また勃ってきてる…」
指摘されて見てみると、さっき絶頂をむかえたはずの性器が少しだけだけど反っていた。
「言わないで……ッ」
恥ずかしくて隠そうとした時だった。
「これ……舐めていい?」
「えっ、…舐めって、え…?」
ナオが…俺のを?
「そ、そんなことしなくていいよ」
「やっぱり嫌だ?」
「嫌っていうか……そうじゃなくて」
そんなの……
「恥ずかしいよ…それに、汚ないだろうし…」
嫌なんて思ってないしちょっと興味ある…けど恥ずかしいし、いくらなんでもハードルが高いと思う。
俺はナオに出来るけど、ナオは基本的にノンケのはずだ。
そんな無理はさせたくない。
「無理しなくていいよ」
そう言ったのに。
「嫌いじゃないのは本当?」
「え………まあ」
「北見さんにはされたことある?」
「え?あるけど…、」
言った瞬間、自分がバカだと思った。
何馬鹿正直に答えてるんだ。
ナオの雰囲気が少しピリピリし始める。
「されるのが嫌いなんだったらしないつもりだったけど……問題無さそうだな」
ナオはそう言って顔を近づけ、俺の静止の言葉は発せられなかった。
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