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疑心暗鬼と幸福 10
与えられる快感に委ねていると、ぎゅっと抱きしめられた。
そのまま起こされ、体重がかかって一気に深いところまで挿さった。
「あ、ああーッ…!」
ビリビリと痺れが走る。
抱きしめている身体にさらに強くしがみついた。
少し呼吸が落ち着くと身体を離され、俺の顔を包み込むようにナオは手を添えた。
それから見つめ合って、キスをする。
少しだけざらついていて、だけど柔らかいナオの唇。
その唇をぺろりと舐めると、隙間が出来て舌を絡める。
「んっ……、…ん、」
「はっ…、…んっ……」
髪を掴み、お互いをかき抱く。
キスをしたまま、腰を掴まれゆっくりと揺らされた。
「んー…んっ、ぁ……ぅむっ、」
離しても、また合わせて。
唾液はもうどちらのものか分からないくらい混ざり合っている。
夢中だった。
こうして繋がったまま抱き合ってキスするのが凄く幸せで、離したくないと回した腕に力を込め、ぎゅっとしがみついた。
ナオも力を込めてさらに身体は密着した。
「ん、んっ、…んんっ」
身体の動きもゆっくりとしたものから激しくなってきて、でもキスもやめたくなかった。
頑張って堪えていたけど、ナオが俺のに触れた時思わず離してしまった。
「んぁッ、あ…んっ……あッ、だめ…」
張りつめて今にも出そうになっているモノを扱かれ、その間も揺さぶられる。
快感に堪えられなくて身体を離そうとすると、ナオは逃げようとする俺の腕をぐい、と引っ張り、自分の腕の中に閉じ込めた。
「逃げんな」
熱い吐息が混じった声が、俺を支配する。
「いや」なんて言っても支配された身体は、目の前の身体につかまることしかできない。
「あっ……ああッ…あ、」
ひっきりなしに声を上げて、頭が真っ白になっていく。
もうダメ………。
過ぎた快感に飛びそうになったその時、
「あ」
喉元に歯を当てられ、軽くくい込んでー。
「……、……ッ!」
声にならない悲鳴を上げた。
身体を倒され、ガクガクと揺さぶられる。
「あ、んっ…、んぁ、あ、あっ」
腰を掴まれ容赦無く突かれる。
声も我慢出来ない。
されるがままだった。
ナオに何か言われた気がしたけど、もう分からなくて快感に溺れている身体をどうにかして欲しいことで頭がいっぱいで、自分が何て答えたのかも分からなかった。
「……ぅッ!」
「あ……」
ナオが叩きつけるように最奥まで突いて、呻き声と同時に中で何かがドクンと波打つ。
じわじわと熱いものが広がって、中に出されたんだと分かった。
そのことに言いようのない幸福感を感じて浸っていると、視界がだんだんと暗くなり、そのまま意識を飛ばした。
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