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第21話
「スバルさん、泣きやみましたか」
優しく撫で続けられる。少し角度を変えて、髪を持ち上げるように、梳かすように。
マッサージをされてるみたいで気持ちいい。
「ぇ!?」
チュッというリップ音とともに、首すじに熱を感じた。
「...可愛い」
「な...な、何...」
この人は何をしてるの。
慌てて熱を持つ首すじに手を当てたけれど、その部位は自分からは確認できない。
「跡つけちゃいました。ごめんなさい」
「.....」
嬉しい反面、不味いと思った。
このあと、戸田君との『えっち』の約束があるのだ。
泣き腫らした目だけでも驚かせてしまうのに、脱がせたら紅い跡なんて、どう言い訳しても納得させられる気がしない。
.....いっそ、気が変わったと言って帰ってもらおうか。今電話して。
でもそれを餌に戸田君の口を封じ込んだ手間、二度目はできないだろう。
彼は自分の付けた覚えのない跡を見てどう思うのか。
「スバルさん...?.....ごめん、そんな嫌だったなんて.....」
「ちがっ、嬉しい!」
「え?」
しまった。墓穴を堀ってしまった。
「いや、えっと.....」
「今日うち来ませんか、スバルさん」
「えっ!?えっ、え...?」
そんなこと言われると勘違いしてしまいそうになる。
慌てた僕の表情に微笑んだ久保さんは爆弾発言をする。
「ちゃんとどうヤるのかも調べて来たんです。ゴムもローションも買ってきたし」
「ヤっ...って.....久保さん...?」
「ちゃんとそういう意味ですよ。だから、本気だって言ってるじゃないですか」
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