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第16話
「スバルちゃ~ん!今日は腰の調子が良くないのかー」
お馴染みの人たちが既に出来上がった状態で入ってくる。
「んー、足捻っちゃってー」
「あっまじか。大丈夫?」
「多分すぐに治ると思うんですけどー」
カウンターから身を乗り出して私の足に貼られた冷却湿布を馴染み客達が見て、口々にお大事に、と言ってくれる。
「腰の調子とか茶化しちゃってごめんなぁ。もし酷かったらちゃんと病院行きなよ?」
「ふふっ。林さんありがとうございます。」
「スバルちゃんの白い足にアザなんて出来ちゃ堪んねぇからなぁ」
林さんと会話が弾み始めた頃、ドアのベルが鳴った。
また常連さんだろうと、精一杯の笑顔で顔を向ける。
「いらっしゃいませ~!あっ」
「スバルさん.....」
「久保さん.....」
「あっ足...どうしたんです」
久保さんは私服で、怪訝そうに私の足の湿布を見ながら林さんに会釈した。
「あのー...階段から落ちちゃって.....」
「それなのにそんな高いヒール履いて!」
「.....いいじゃん。むぅ」
私の甘えた声に目を開いて突っ立ったままの久保さん。
拗ねて唇を突き出してみたけど、想像以上に久保さんへの威力は壮大だったようだ。
ほんのり頬を染めている。
「スバルさん.....」
「何よぅ。ピンヒール好きなんだもん、いいじゃない」
「俺は心配して.....」
私がくるっと椅子を回して背を向けると久保さんが焦ったようにカウンターの席についた音が聞こえた。
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