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第17話

「ねぇスバルさん。こっち向いて」 「ふん!」 「スバルちゃん珍しいなあ。君、スバルちゃん怒らせちゃったの」 林さんが久保さんにもたれかかって、クククッと笑う。 私が本気で怒ってないことがわかっているからか楽しそうだ。 「スバルちゃん滅多に怒んないんだから」 林さんのタイプじゃないとわかっても久保さんにくっつくその姿が視界の端に入って胸がズキズキする。 「えっスバルさん本気で怒ってます?」 「.....んーもう!林さんわかっててやってるんでしょう!もう!」 林さんの腕を払わないまま私に申し訳なさそうな表情を向けてくる久保さんを無視すると、立ち上がって林さんを睨む。 「まさかスバルちゃんがねぇ...ガチ恋ってやつ?」 「えっ?え?ん?スバルさん足痛いのに急に立って大丈夫なんですか」 林さんは私に見せつけるように久保さんの肩を抱いた。私たちにとってそれはかなりのスキンシップで、でも久保さんにとっては酔っ払いのおじさんに絡まれているとしか感じて無いのかもしれない。 「久保さんも!私怒ってるんだから!」 「あーあスバルちゃん激おこ」 カウンターに手をついて久保さんを怒ると何故か久保さんが顔を赤くした。 まさかMでもないだろうに、なんでそんな照れた表情をするんだ。

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