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第18話

「ねぇ。まだ帰らないの」 「スバルさんが帰るの送ります。この辺危ないですから」 さっきから私が大量の酒を注いでは彼が呑みを繰り返しているのに一向に酔う気配もなく、とうとう閉店時間がやってきた。 この辺が危ないなんて、そんなこと言われなくても自分が一番良く知っている。 「もうすぐ閉店なんですがー」 「だから送っていきますって言ってます」 「あなたに心配される義理はないんだけど」 明らかに客に対する態度とは違う私が居る。 それこそまさに彼を特別視していることの現れなのかもしれない。 つっけんどんに言い放った私の言葉をサラリと返す久保さん。 「どうせ同じ場所に住んでるようなものなんですから、一緒に帰るだけです」 「迷惑」 あえて冷たい目で彼見た。だってヨゴレた私と彼なんて不釣り合い過ぎて。 それなのに彼はキョトンとして、綺麗な瞳で私を見返す。そしてニコッと笑った。 「ほんとは嬉しいくせに。ツンデレってやつですか?」 ほんとに彼は私をわかってない。

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