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時間は19:00。今日はもう帰ろう。明日少し早く来て明後日からの休みに備えるか。
携帯をチェックするとメ一ルがきていた。
アキだ!
『なんとか盆休みが3日とれた。映画でもいかないか?無理なら久しぶりに飯でもどうだ?』
いたって簡潔なアキのメ一ル。返信を打ち初めて途中で止めた、電話しよう。
『アキ、ひさしぶりだね』
電話をするのは1ケ月ぶりくらいだ。なんだか照れくさい。
『おう、元気だったか?もしかしたら休みなしかもって思ったんだけど、なんとかなったから、久々に映画でもどうかと思ってさ、お前休みはあるのか?』
『う~ん、一応4日もらえたんだけどさ、休み前に仕上がるデザインがアップしなくて、というかお客さんが色校段階で路線変更しちゃって・・・・。』
『色校までいって?色変更レベルじゃなくて?』
『うん、全部やり直し
デザインは休み返上でやるそうなんだよ。担当の代理店の人間と僕は電話があるかもしれないからどこにもいけないんだ。僕もアキと映画でもみようかと思っていたけど、そんな状態だと映画館にいけないしさ、途中で連絡あるんじゃないかなんてビクビクしながら映画みるのは楽しくないし』
『それはしょうがないな・・・・』
『でもさ、なんかもう4月からあっという間で、色んなものが溜まっててさ、仕事に関係ない人間に無性にあいたいんだよ』
顔を見ていたらなんてことない事も電話だと照れくさい。アキにあいたいって素直に言えなかった。
でもこれじゃ誰でもいいみたいだから言い直す。
『あ、アキはまったく関係ないわけじゃないね。デザイナ一さんだった。前言撤回、久しぶりにアキに会いたいよ。映画は無理なんだけど、どこか食事にでもいこうか?』
本当は久しぶりに映画がみたかったんだけどな。
『あ、じゃあ俺のうちにくればいい。酒が飲みたければ買えばいいし。映画館とはいえないがDVDは見られるし、俺がなにか作るよ。』
『え~ほんとに、僕一度アキの家にいってみたかったんだよ。じゃあDVDは俺が持っていくよ。委細はメ一ルでやりとりしよう!なんか前向きに仕事ができそうだ、じゃあね』
僕は舞い上がった!アキからのお誘いだ。学生時代僕は隣町から通っていて家が遠かったし、アキはお兄さんと住んでいたからなんとなく行きずらかった。アキと会うときは映画館が最大の目的だったから、お互いの家で過ごすということをしたことがなかったんだ。
思い返せば不思議だけど、それでこんなに長く友達なんだ。すごいよね。
切れた電話を見つめながらワクワクしている自分に気がつく。
シネマラソンに行こうと思った時ぐらい楽しみだ。
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