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20:00過ぎのオフィス。 12月は何かと忙しい時期だ。年末年始をみこして通常スケジュ一ルよりもタイトに仕事がすすむ。 クリスマス、年末年始に様々な商戦をクライアントが繰り広げるため、仕事量は大幅に増える。得意先の代理店からの外注もあいまって、殺人的な毎日になるのだ。 20:00過ぎは「もう、こんな時間か」ではなく、あ~まだ0:00まで時間があるなと思える「早い」時間といってもいい。 上顧客用にもう1パタ一ンDMをつくりたいというクライアントの意向があり、俺はそのデザインにとりかかっていた。今日中にアップできれば明日朝一で確認をもらえるだろう。そうしないと後に控える案件に負担がかかるのでなんとしてもあと4時間でものにするぞと勢いこんでいた。 方向性が見えたところでコ一ヒ一を淹れ上司に確認を取ろうとデスクに向かう。 「うんうん。了解です、じゃあ明日10時に下版デ一タにしておくから受け取りにきてくれる?どうだった東京は、あ~そうか、しかしこの時期に慌しいというかお可哀想にというか。」 上司の石田さんが笑いながら電話で話している。 確認とって明日の午後浅い時間までに手直しして、明日中に下版できないだろうか、などとブツブツ考えていたところに声がかかった。 「佐々木、さっきのDMか?」 説明しながらラフをみせる。相手の意向はこれでカバ一できるだろうとOKをもらえたので作業に戻るため自分のデスクに向かおうとしたとき石田さんが言った。 「そういや和泉君戻ってきたみたいだわ。東京の部署が形になったみたいでさ。お前のところにも連絡きただろ?」 頭の芯からつま先まで冷たい棒に貫かれたような気がした。 和泉が帰ってきた。 でも、俺には何も言ってくれない・・・・のか。 手は離されたままだった。

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