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彼は佐々木晶という名前だった。
佐々木も晶も、それっぽくなくて僕は勝手にアキと呼ぶことにした。僕はほとんど「カイ」って呼ばれるからそれでもいいと思ったんだけど、何故か同じは嫌だった。だから苗字の和泉で呼んで貰う事に決めた。
アキと和泉。なんか特別な予感がする。
「そういえば、パンフレット買わなかったの?僕はすっかり忘れちゃって」
僕が聞くとアキは不思議そうな顔をした。
そりゃそうだ、僕がアキと係りの人の会話を聞いていたなんてしらないだろうから。
「トイレから帰ってきたら、アキが係りの人に在庫を聞いていたんだ。
だからよっぽど欲しかったのか・・・な・・と」
なんか盗み聞きを咎められたような気がして語尾が濁る。
アキはちょっと笑って答えてくれた
「俺は今日の中で「狩人の夜」が一番好きだったんだ。だからそれが欲しかったんだけど、それは在庫自体が無かったらしくって。そしたら他を買っても妥協みたいな気がしてね。他の5本だって好きな作品になったから、妥協レベルにしちゃ悪い気がして」
「へえ」
あんまり真っ直ぐな意見をさらりと言われて僕はちょっとまごついた。
だけどアキの言っていることはものすごくよくわかる。なんだか胸が暖かくなった。
「係りの人が教えてくれたんだけど、あの映画、公開当時ぜんぜんあたらなくて映画がお蔵入りになってたみたいで・・・・」
生き生きと映画の話をするアキをみて僕の予感は当たった
アキは僕の特別な友達になった。
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