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バレンタインSS 6 君のついた小さな嘘は
ね……こんなの、たまらない。
「あ、ぁ……ぁ、ン、伊都ぉ……っ」
切ない表情、甘い声、熱い吐息、それと俺に見えないようにしながら、やらしい音を立てる指。
「あっ……っ」
ね? たまらない。
「そ、んな、見ないでっ」
やだよ。見せて。
「ぁ、伊都っ……ど、しよ。恥ずかしい、の、に」
君がひとりでエッチなことをしてるの、見せて。
「伊都に見られてるの、気持ち……イイ」
俺は君の零す声と吐息の熱だけでイけちゃいそうなくらいだ。
「ン……伊都、キス、したいっ……」
ベッドヘッドのところに枕を積んで、そこに背中から寄りかかるように座ってた。君は俺の上に跨るように座って、今してることは見えないようにこっちを向いて、膝立ちの体勢で後ろの孔を指で、してる。エッチな音をさせながら、指で、君が自分のそこを解して濡らして、柔く慣らす。慣らしながら、とろりとした透明な雫をてっぺんにいっぱい溜めた日向のそれが、声と一緒になってピクンって揺れて、感じてた。
ひとりでしてるとこを、俺に見せてくれてる。
いつも俺のことを考えながらしてるって、言ってた。その君が、俺の前で、ひとりでしてて、見られてるの気持ちイイって甘い声で囁いて、キスをねだる。
「は、ぁっ……伊都っ……ン、んっ……ン」
ね? こんなの、吐息が触れるだけで、イっちゃうよ。
「ン、ン、……ん」
舌の絡まり合うぴちゃくちゅ濡れた音。君の柔らかい声を零す唇が必死に俺の唇を貪って、舌にしゃぶりついて、唾液の喉を鳴らしてる。
「ん……っ」
「ね、日向」
興奮しないわけない。ほら、声が自分でも呆れてしまうほど、ふわふわと浮ついてた。
「いつ、したの?」
「……え?」
「ひとりでエッチなこと、いつしたの?」
お互い実家住まいの俺たちはそうたくさん身体を繋げられなくて、もどかしいことなんて山ほどあってさ。いつだって抱き締めたいけど、そうもいかなくて。
「……え、いつ……」
「うん。教えて」
キスしながら尋ねた。唇を触れ合わせながら話をすると吐息がくすぐったくて、ゾクゾクする。身体の内側でおあずけを食らっている熱が暴れて始める。
「た、たまに……かな、そ、そんなにたくさんじゃないよっ」
君が指を入れてるそこに俺のを捻じ込ませて欲しいって。熱くて、トロトロで気持ちイイ君の中に俺を入れさせてって。
「俺もしたよ。日向のことを思いながら、オナニーした。あまりに君の事ばっか考えすぎてさ」
さすがに恥ずかしいから、身体を起こして、君の細い腰に手を置いて、こっそり耳元で自白した。
――夢の中でも、日向とエッチなことしてたよ。
「え?」
「まさかの朝から洗濯」
「……」
思わず笑って誤魔化したくなるくらいに恥ずかしい。
「ね、ダサいでしょ?」
「…………嘘、だよ」
「日向?」
「……ウソ」
俺の肩のところに額を乗せて、日向がぽつりと呟いた。耳まで真っ赤にしながら、ウソって小さな声が自白する。
「日向?」
「たまに、じゃないよ」
熱に侵されたみたいに掠れた小さな小さな声がそっと耳元で教えてくれた。
「この前もしてた」
「……」
「伊都が夕方電話してきてくれた時、会いたくて、してた」
「……え」
「今日、バレンタイン、の日、向こうにいかないといけなくなっちゃったって、俺が言った時」
「あ」
寝てたんだと思ってた。少し掠れてて、寝起きみたいな声をしてたから。
「あの時?」
それはつい数日前のことで、そんで俺が朝からひとり率先して洗濯をした日の夕方のことで。
「幻滅、した?」
「……」
「こ、こういうの、げんめっ、!」
するわけないじゃん。
気持ちイイのと、恥ずかしいのと、幻滅されたらどうにかなっちゃうくらいに悲しいって、目に涙をいっぱい溜めて俺を見上げる君に、いつ、どうやって幻滅するの? ね、そんなの無理だと思わない?
こんなにエロくて可愛い人、好きにならないわけないじゃん。抱き締めるに決ってるじゃん。
「興奮、した」
驚かないでよ。組み敷かれた君の指が濡れてる。オナニーして、ローションに濡れた指に指を絡めて、うなじにキスをしながら、柔肌が眩しい白い脚を抱えて、開かせた。
「ぁっ……」
手を握り合って、キスをしながら、しなやかなその細い身体を抉じ開ける。
「ぁ、あっ、伊都、伊都っ、んっ、あっ……」
「っ」
たくさん、今、指でやらしく広げてくれたはずのそこは、柔らかいのに、濡れてるのに、狭くてきつくしゃぶりつく。
「は、ぁっ……日向、の、中」
すごく俺のことを欲しがってくれててさ。たまんない。
「気持ちイイ、日向の中」
「あ、ぁっ……ん、伊都っ、ぁ、伊都の」
日向も、たまんない?
「やぁっ……ん、奥、ぁン」
甘い声上げて、背中をしならせて、俺のが深いとこまで、君の奥まで来れるようにって、身体をくねらせちゃうくらい、気持ちイイ?
「ぁ、あっ、熱いっ」
ぎゅっとシーツを握って、薄っすら開いた瞳に涙を溜めて、うっとりするくらい感じてる。
「ン、ぁ、すごっ……ぁ、そこ、好きっ」
知ってる。ここでしょ?
「やぁっ……ン」
やらしい声。唾液まで甘くなってそうで、覆い被さりながら、奥を先で何度もノックしつつ、舌を絡めてキスをした。
「ン、ぁっ……ンくっ、ン、ぁ」
背中を丸めて、胸にある小さな粒にもキスを。
「あ、ンっ……気持ちイイ」
舐めて濡らしてから、そこに歯を立てると、ペニスを咥えたそこがきゅんきゅん嬉しそうにしてくれる。
「ぁ、んっ……ぁ、あっ、あぁ」
揺さぶる度に零れる声も、唇も、爪で刺激されて、摘まれ抓られて、コリコリになったピンクの乳首も、気持ちよくなると薄っすら桜色になる白い肌も、もちろん、ひとりでエッチなことをしてた細くて綺麗なこの指も。
「あぁっン……伊都ぉ」
君の全部が大好きだ。
「本物の伊都だ」
「日向?」
君のこととなるとダメなんだ。狂おしいくらいに。
「伊都……あっ、ン」
ほら、名前を呼ばれてただけで、こうして攻め立てちゃうんだ。
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