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一人暮らし初夜編 5 一番近くは

 そっと薄く色づいた頬に掌で触れると、目を閉じて甘えるように首を傾げて頬を摺り寄せる君。大好きな君がちらっとこっちを見つめて、柔らかい唇をちょっとだけ開くんだ。 「ぁ、伊都……」  君が俺を呼ぶ。 「んんっ」  君の声が甘く響く。 「日向」  俺は、熱にのぼせてしまいそうになる。 「あっ……ン」  だって、今日の君の甘い喘ぎはなんだかとても伸び伸びしてる。愛撫に素直に答えてくれる。親が帰ってきちゃうかな、とかさ気にしなくていいんだ。ここは外だから、キスは軽め、なんて我慢しなくていいんだ。 「あっン、伊都」  首筋にキスをして、少しだけ吸うと声が跳ねた。高くて可愛い君の悲鳴に、ヤバイくらいに興奮する。丁寧に抱き締めたいのに、込み上げてくる熱に理性が溶けちゃいそう。 「日向」 「ン、ぁ……伊都、あの、ね」 「?」  ごめん。がっつきすぎた? 久しぶりに触れた君の肌の柔らかさに夢中になって唇で触れていた。真っ赤になった頬に潤んだ瞳の君は一生懸命に俺の服にしがみついてる。ごめんね。なんかのぼせてるんだ。久しぶりすぎて。 「あの、するの、久しぶり、でしょ?」 「……」 「あの、ね、あんま、してないんだ。その、後ろ、してない」  俺は日向が引っ越す日からをできるだけ余裕ある感じにしたくて、必死に課題を終わらせてた。レポートだってばっちり。だから、かなり忙しくて。日向も新生活に向けてあれこれ忙しそうで。けど、引越しが終わったらって――。 「ぁ、えっと、日向、後ろって……」  ごめん。真っ赤にさせちゃった。プシュウって音がしそうなくらい耳まで真っ赤にして俯いた日向がぎゅっと強く俺の服にしがみつく。 「あんま……いじってないの……」 「……」 「後ろ、しちゃうと、伊都のこと思い出しちゃって困るから、その、してなくて、だから、さっきお風呂でしとこうかなって思ったんだけど、久しぶりすぎて」 「……」  白い君の指先までピンク色。 「上手にできそうにないっていうか、時間、かかりそうだったし、その、自分でしても、あんま気持ち良くなくて」 「……」 「伊都、がいい」  ごめんね。我儘で。そう、小さく小さく、二人っきりのうちの中じゃなくちゃ聞こえないくらいに小さな呟き。  君はいまだに半信半疑らしいけれど、やっぱり可愛いよ。そんなことないって困ったように笑うけれど、でも、やっぱり世界で一番可愛いんだ。ねぇ、日向。 「ぁ、あの、伊都?」 「もぉ」 「! ごめっ、……っ、ン」  丁寧に、大事に、抱き締めたいんだってば。 「可愛すぎて、困る」 「あ、ン」  なのに、君がすごく可愛いことを言うから、理性が消し飛んじゃうよ。 「あっ、はぁっ……ン、伊都」 「?」 「もう一つ、我儘、してもいい?」  イヤな予感がした。 「あの、ね? 久しぶりだから、伊都のこと見てたいんだ。だから、このままでもいい? お尻んとこ準備するの向かい合わせでもいい?」  君がまたすごい可愛いことを言って、俺のなけなしの理性を粉々に砕いてしまいそうで。 「伊都、ぁ、あっ……ン、ぁ、伊都」 「……」 「さっき、ちょっとだけしてみたっ、ぁっン、お風呂で、してみたの」 「うん」 「なんでだろ……ね、やっぱり、伊都の指だと、ぁ、あっ、気持ちイイの」  君の中が、きゅん、ってしがみ付く。この白い指みたいにぎゅっとしがみ付いてくれる。 「あ、キス、もしたいっ、伊都、ふっ……はぁっ、ン、ぁ、っ」  君の口の中みたいに、指に熱く絡み付いてくる。 「ぁ、ぁ、舐め、ながら、しちゃ、ぁ、そこ、ン、んんんんんっ」  ほら、ここ、君の好きなとこだよ。君の乳首と同じ。コリってしてて、押し潰すようにすると、すごく気持ち良さそう。 「……ぁ、伊都」  イヤな予感は的中だ。 「ど、しよ。伊都」 「……」 「も、イっちゃいそう」  丁寧に、ゆっくりは抱き締めてあげられそうにない。太腿の内側を自分の手で開いて、もっと奥、今、俺の指が君の内側を柔らかくしようとしてるのを指先で確かめてから、ゴクンって喉を鳴らしたりしてさ。ねぇ、そんなことしたら、ダメだよ。俺の名前を呼びながら、もう痛いくらいに張り詰めてても我慢してる俺のを撫でたりしないで。いい子いい子ってしてから、くすぐったりなんてしたらさ。  ゴムしないといけないのに。コンドームを取ろうと伸ばした手を捕まえて、キスして、そのまま自分の胸に押し付けないで。 「伊都、早く、このままがいい」  期待してるって、孔をきゅぅんってさせるの反則だ。 「あっ、ぁっ……ン」  指を抜く時、鼻にかかった吐息がヤバい。 「ぁ、伊都ぉ……ぁ、あ」  君の中に入る時、名前を呼んでくれるのも、ダメだよ。 「あ、あっ、あっン、ぁっ……ン」  丁寧に、ゆっくり、っていうのは無理っぽい。 「あ、あっ伊都っ、伊都っ」 「日向」  けど、大好きだよ。大事な俺の好きな子。 「ぁ、やぁっ……ン、そこ、あんまぐりぐりしちゃ、やだっ」 「っ、日向」  大切に大事に君を抱き締める。 「伊都、ん、ンン」  覆い被さって重くない? 俺、また少し筋力アップさせたから、重いでしょ? 「ン、好き、伊都」  けど、君は脚で、腕でしがみ付いて、ぎゅううってしてくれる。笑って、気持ち良さそうな溜め息をついて、潤んだ瞳はキラキラしてた。 「もっと、奥、して?」  齧り付くようにキスをした。舌を伸ばして絡ませ合いながら、繋がった場所がやらしい音を立てる。 「あ、やあぁぁぁあっン」  我慢しない君のこういう時の声は、旅行の時以来だ。 「あ、あっ、ぁっ、ン、そこ、好き、伊都っ」  ちょっとだけ、笑ったよね。部屋を決める時にさ、不動産屋さんが案内してくれた二階の角部屋、目の前にはそう大きくはないけれどそれなりの交通量のある道路がある。だから人目があって防犯にもなるし、窓は締め切ってしまえばそう音も気にならない。そう説明されて、ここがいいって、お互いに顔を見合わせちゃったんだ。外の音が聞こえないってことは、部屋の音も大丈夫でしょ? だから、お隣さんのことも平気、かなって。 「ぁ、あっ、ン、ぁ、ンっ……伊都っ」 「日向」  濡れた音も、濃厚なキスが立てるぴちゃくちゅやらしい舌の音も、それに君の甘い甘い嬌声も、外に漏れてしまう心配はしなくて平気かなって。 「ぁ、あっ、んんんっ、伊都っ」 「日向」  君の声がいつもより気持ち良さそうで夢中になって抱き締めた。奥を抉じ開けて、小刻みに君の内側を擦って、何度も何度も深く貫きながら、覆い被さってキスをした。深くて濃くて、混ざり合うキスを交わしながら、交わるんだ。君と俺で。 「はっ、ぁ、あっ、伊都」 「……」 「中にしてね」  甘えてくれた。君が油断しきった顔で額を額に擦り付けて、まるでしなやかな猫のように、俺の下で身体をくねらせる。 「ね? 伊都」 「……っ」 「ぁ、あっ、ン、ぁっ、あ、あ、あ」  しがみついて、絡まり合って。 「ぁ、イくっ、イっちゃう」 「いいよ、日向」 「ぁ、あ、あ、あ、あ、伊都、伊都っ」 「……日向」  抱き合った。ぎゅうううって、二人しかいない部屋で、誰も入れないほどぎゅっと抱き合いながら。 「っ…………!」  声も忘れるくらい、二人でイったんだ。 「……ン、伊都っ」  うん。 「ぁ、伊都っ」  すごいね。 「……ん」  君の一番近くはやっぱりすごく幸せで、蕩けちゃうかと思ったよ。

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