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一人暮らし初夜編 6 二人で楽しむ一人暮らし

 日向が一人暮らしを始めたらたくさんしたいことがあったんだ。一緒にスーパーで買い物。「いただきます」って言って、二人で作ったご飯を食べること。心配させてしまうかもとか、そろそろ帰らないといけないよねとか考えずにテレビを見ること。食器を洗って、ひと段落のあと、のぉぉんびりすること。  君に好きなだけキスをすること。それと――。 「……おはよ、伊都」  君におはようって言うこと。  先に言われちゃったけど。 「……おはよ、日向」  あと、これもけっこうしたかったんだ。ヌード姿の日向とベッドで朝を迎えるっていうの。想像ではさ、白い肌が艶めいててさ、布団から出てる肩とかが朝日に照らされてキラキラっていうか、眩しい感じで。寝起きのトロンとした感じがたまらなくセクシーで、きっと俺は朝からドキドキして。 「ふふっ」 「日向?」 「なんかね、一人暮らしするのすごい楽しみだったんだ」 「うん」 「たくさん想像したりしてたんだけど」  でも、本物は想像を遥かに超えてた。  キラキラも艶もすごいんだけど、何よりさ、白い肌には俺がつけたキスマークがあるんだ。それだけでも破壊力抜群なのに、はにかんで頬を染めてる。 「なんか、想像以上だった」  君の部屋で迎える、君と二人っきりの朝。 「なんか、ズルいよ。伊都」 「え? 何? 何か」 「カッコいいんだもん」 「……」 「でもどうせ、また、俺なんてちっともだよって言うんだ。俺には可愛いって自覚しろって言うくせに、自分は自分がカッコいいって自覚ないじゃん」  じゃんって、そんな口をへの字にして言わないでよ。 「き、昨日だってめちゃくちゃカッコよかったし」 「! は? 全然だよ。だって、俺、かなりがっついてたでしょ? 日向が痛くならないようにって頑張ったけどさ、けどっ」 「……見せてあげたい」 「……」 「どんだけ伊都がカッコいいのか」  俺も、見せてあげたいよ。  君が今、そうやって、枕の端っこをぎゅっと握りながら、耳まで真っ赤に染めてつつ、恨めしそうにこっちを睨むのも、そのへの字になった赤い花びら色の唇も、うなじのキスマークも全部ぜーんぶ、どんだけ可愛いのか。  どんだけ、破壊力があるのかを。 「すごいんだから」  すごいんだよ? 「その、そういうのしてる時の伊都、めちゃくちゃカッコいいんだよ? って、今も普通にカッコいいけど。そうじゃなくてっ! セクシーなの! ドキドキするんだからっ」  俺の下で身をくねらせる君はめちゃくちゃ可愛いんだ。やらしくて、甘くて、トロトロな蜜だらけのお花みたい。そうそう、それでセクシーなの。めっちゃドキドキしながら、いつも、昨日だって君を抱き締めてた。 「カッコいいんだよ……?」  君は、とっても可愛いんだよ。 「だから、伊っ」 「好きだよ」  だから、どうか余所見はしないでね。 「……伊都」  どうかこんなに可愛い君を他の誰にも見せないで。 「あっ……ン」  ずっとずっと、俺のものでいて。 「ぁ、ン、伊都っ」  これも初めてだ。 「伊都……」  額をこつんってぶつけて、ふわりと目を伏せた君が色っぽく名前を呼んでくれたから、たぶん同じことを思ったはず。  二人でビジネスホテルに泊まった時も一緒に朝を迎えたけれど、でも、あの時はリミットがあって。誰に気兼ねをしなくてもいい旅館とかホテルとかでもさ、朝が来たら帰らないといけない。名残惜しくて切なかったけれど。切なくなりながら、恋しさの中で抱き締めたけれど。 「ぁ、あっ……ン、伊都っ、ぁ、あ」  ベッドの中、くちゅりと甘い音がした。 「あぁぁン」  君の声が甘く蕩けた。 「あ、ぁっ……ン、ん、伊都っ」  枕をぎゅっと握って、昨日の余韻で柔らかい日向の奥深くまで自分を突き入れる。 「はぁっ……ぁ、ン、あぁっ」  ずるりと引いて、また深く。ゆっくり、昨日みたいに激しいのじゃなくて、丁寧に、俺ので君と繋がるんだ。 「ぁ、ぁっン、ぁんっ……ン」 「日向」  埋め込んで、沈んで、また引いて、また埋め込んで。喘ぎながら仰け反る身体に歯を立て、舐めて、キスをする。  白い太腿にも俺が付けたキスマークがあった。背を反らせて誘うように硬くなった乳首にも。俺のが入ってるお腹のところにも。君に好きだって言う代わりにつけたキスの痕が残ってる。じっと見るには眩しいくらいにセクシーだけれど、じっと見たくなるくらいに可愛い、俺の好きな子。  好きな子には意地悪をちょっとしてみたくなったりしない? 「あ、あっ、ン、そこ、ダメ、も、イっちゃうっ」 「っ」 「ぁ、あっン、アん、ぁ、ダメ、ってば、そこ、気持ちイイの」  好きな子だから大事にしたくなるでしょ? 「あ、ぁぁっ……や、だぁ、浅いとこばっかじゃなくて、奥もしてよ」 「……」 「伊都っ」 「一緒にイこう? 日向」 「ンっ、ぁ、あっ、ぁ、ぁ、あああああああっ!」  好きな子だからずっと一緒にいたいんだ。 「あっ……ン、伊都の、すごいドクドクしてる」 「っ、あんま言わないでっ」 「なんで? すごく嬉しいのに」 「だって、手放してあげられない」 「いいよ」  ずっと。 「俺も伊都のこと手放してあげないし」  けれど、ここはホテルでも旅館でも実家でもないから、やらなくちゃね。洗濯物に掃除に買い物。朝食は……散歩がてらのコンビニでいい? あぁ、でも遅くなるだろうし、お昼兼用にしようか。だって、また俺は君を抱き締めたくなっちゃった。  大丈夫。チェックアウトはもうないから。 「いいよ。手放さないで」  ね? 思う存分、イチャイチャしてたくさん笑おう。一人暮らし記念の二日目も飛び切り楽しい感じに。 「知らないから、日向」 「それはこっちの台詞だし」  君と、していきたいんだ。

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