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夏風邪編 7 笑って、話して、抱き締め合って

「あぁっ……ン」  まだ指なのに。 「ン、伊都ぉ」  ねぇ、日向、指で、そんな顔しないで。 「ひゃっぁっ……ぁ、伊都っ、そこ、や、だ……」 「なん、で?」  尋ねる自分の声が掠れてた。  君の中が蕩けててさ、指で柔らかくしてる最中から、なんか気持ち良い。 「伊都の指、気持ち、い……のっ」 「なら、よかった」  可愛くてたまらない。指なのにきゅぅきゅぅ締め付けてくる君の中に、入りたくて――。 「ん、伊都っ、ン、ふっ……ぁ、……んくっ」  たまらない。 「ン、ぁ、ふっ……ン、ん」  首に腕を回してしがみついて、大きなおにぎりだって食べちゃうこの可愛い唇でキスをしてくれる。 「伊都、名前、呼んで欲し」 「ごめん。夢中すぎた」  呆れられちゃいそうなくらい、好きな子の仕草に表情に声に、夢中で名前を呼ぶのも忘れてたんだ。 「ン、ぁ」 「日向」  優しくて、あったかい君が好き。 「も……へ、き」  もうこれ以上、指でしなくて平気だよって真っ赤になりながら教えてくれる、はにかみ屋の君が好き。 「伊都の、挿れて?」  そーっと俺を引き寄せて、優しい指先で触れて可愛く誘ってくれる君が好き。 「日向」 「ンっ……ぁ、あっ、あっ」  ゆっくり、ゆっくり。少しいつもよりも欲しがりな日向がどこも痛くならないように。ゆっくり君の中に俺のこと入れさせて? 「あ、あ、ン、伊都のっ、ぁ、あぁぁぁぁぁっ」  敏感で。 「日向……」 「あっも、イっちゃった……ン、伊都の、大きいの、気持ち、イ、から」  やらしい君がたまらなく好き。 「あっン」  身じろぐと、中で擦れて、切なげな声を上げて背中を撓らせた。 「動くよ、日向」 「あっ……ん、いよ……伊都、たくさん」  蕩けちゃいそうだ。 「たくさん、して?」  あんまり、煽らないで? ねぇ、日向。 「ぁ、あ、っンっ……ぁ、伊都ぉっ、ぁっ……ん」  明日も仕事でたくさん歩き回って、一日立ち仕事の君のこと大事にしたいんだ。大切な大好きな子なんだから。 「ぁ、あっん……伊都、伊都っ」 「っ」 「ん、好き、伊都」  ぎゅって俺に抱き付いて、中もきゅうきゅうたくさん締め付けてくれる君のことをもっと欲しくなっちゃうじゃん。 「日向」 「あ、うんっ……伊都っ」 「ひ、なた」 「んぁ」  甘い声で俺の名前を囁いてくれる。奥まで貫くと、肩にしがみ付いた君の指が肌に食い込んだ。それすら刺激になっちゃうくらい日向とこうしてるのが気持ち良くて、たまらなくて、思わず仰け反った君の華奢な鎖骨にキスをした。後で怒られるかな。あまり襟口の大きい服を着なければ大丈夫。  だって、君の中がとっても気持ち良くて、大好きで。 「あっ、伊都っ」  印をつけたくなるんだ。 「あんっ……ン」  君は俺のだよ――って。 「あ、あ、あ、伊都、もっ」 「っ、日向」 「あっン、ぁ、伊都、伊都っ、ン、んんんんんっ」  ゾクゾクって背中を駆け上っていく気持ちイイ熱に思わず力いっぱい抱き締めてた。折れちゃいそうなのに。でも、君はそんな窮屈な腕の中で笑うんだ。 「あっ……ン……伊都の、中でドクドクしてる」 「っ」 「ゴム、しなくてもいいのに」 「ダメ」  すごく特別の特別の、すっごい特別な日以外はダメだよ。負担になるんだから。それに歯止めがさ――。 「言ったじゃん」 「? 日向?」  狭いだろう腕の中で君が汗ばんだ俺の腕に鼻先をくっつけて、キスをした。 「伊都のだもん」 「!」  風邪で汗いっぱいかいて汗臭いから自分で拭くよってした時に日向がそう言ってた。汚いわけないって、俺のだからって。 「伊都の欠片はなんでも欲しいんだ」 「……」 「伊都のこと、大好きだもん」 「っ、日向っ、あんまりっ」  あんまり煽らないでってば。 「やーだ」 「ちょ、日向、あんま、中、きゅんきゅんさせないで」 「やだ。だって」  耳に甘いキスの音と、少し掠れた君の声が触れた。  ――だって、熱出ちゃった伊都、色っぽかったんだもん。  そう囁いて、またきゅぅんって中を切なくする君のせいで、俺はもちろん。 「もおおおっ! 日向」 「あっ……ン」  堪えきれるわけなんてないんだ。 「あ、伊都だ。お前、今日寝坊だったろー、なんだ、水泳ももう復帰なん…………て、していいのか? その背中で」 「いいんだよ」  ロッカールームで平原に遭遇した。俺はちょうど水着に着替えてるところで、背中を入り口のドアに向けてた。 「あのぉ、怒られやしないだろうけど、えらいこっちゃになってるぞ」 「……あはは」 「笑ってる場合? その背中の爪痕。おま、爽やかイケメンの背中にはそんなのあっちゃ」  いいんじゃない? だってさ、好きな子とご飯一緒に食べて、たくさん話して、たくさん笑って、たくさん。 「だって、俺、好きな子いるし」  たくさん好きって夜に抱き締め合っただけなんだから。朝が来て、夜が来て、風邪を引いたり、元気に寝過ごしたり、好きな子と過ごすそんな普通の毎日がただ愛しいだけなんだから。

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