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夏のヤキモチは美味しいです。編 5 大事な大事な宝物

 日向ってさ、あんなにたくさん食べるのに、その食べた分はいつもどこに消えちゃうんだろうって思うよ。昨日だってご飯お代わりしてたでしょ? 豚肉の生姜炒め。豚肉は疲労回復にいいんだって、だから、夏場で運動をたくさんするのならちょうどいいかもって思ったんだって、にっこり微笑みながら、俺よりたくさん食べてた。しかも美味しそうに。そして、俺が日向が買い物をしてきてくれた分、ありがとうってお礼に帰ってきたコンビニスイーツ食べて、太っちゃうかも、なんて言ってたけど。  きっとその心配は無用じゃないかな。 「ひゃ……ぅっ、ん、そんなこと、汗っ」  ほら、今、キスをした君のお腹は嘘みたいに薄くて、細い。こんなに細い君があんなに食いしん坊だなんて信じられなくて、最初の頃はよくびっくりしたっけ。今でもたまにびっくりするけど、そのたびに君は細くなんてないって言い張るんだ。 「い、とぉ……やっぁっ」  細いでしょ。  大事に、とっても大事に、そっと、そーっとしないと折れちゃいそうなくらいだよ。 「あ、あ、あ……」 「日向の、すごい」 「やっ! 待って、見たら、やだ」  肌にキスをされて身悶えていた日向は大慌てで、それを手で隠した。 「見ちゃった」 「や、もぉ」 「いつもより濡れてるし、ガチガチ」 「やっ、だって、伊都が」 「うん。俺が?」  日向の上にもう一度覆い被さって、額に額をコツンって当てると、日向の長い睫毛が濡れているのを見つけた。日向は身体を丸めたいけど、覆い被さる俺のせいでそれも叶わなくて、手で口元を隠しながら、見惚れてちゃうくらいに頬を赤くした  可愛いな。  少し身体をずらすと、いまだっ! って身体を丸めて、膝を抱えながら、もう片方の手でその口元をまた隠しながら俯いた。 「浴衣、かっこよくて、ドキドキする、ン、んんんっ」  大丈夫かな。 「あ、待って、伊都」 「無理、かも」 「あ、あ、あぁ……ン、あン」  今日の日向、えっちで可愛くて。 「ひゃ、ぁ、うっ」  たまらないんだけど。 「あ、あ、あぁ、ン」  羞恥心からキュッと身体を丸めた日向のやらしい奥を指で優しく、優しく撫でてあげる。浅いところを少し広げて、それから二本に増やした指で、ほぐしてく。 「あっ」  日向って、たまにさ、ホント、可愛すぎてズルいよ。 「やぁ……ン、あ、ン」  ね、今自分がどんな格好してるのかなんてわかってない。  きっと、ちっともわかってない。  恥ずかしさで丸まってるんだろうけど、ね、俺からしてみたら「して欲しい」って誘惑されてるみたい。自分の脚を抱き抱えて、一番やらしくて恥ずかしいところをこっちに向けて、甘い声、だなんて。 「あ、あ……伊都ぉ」 「うん」 「あ、ダメっ、そこ、気持ち、ぃ」 「うん」  気持ちいいと真っ赤になりながら教えてくれる柔らかい唇にキスをした。 「ん、ひゃう、あン」  白い腕でぎゅって抱きしめている君の膝小僧に歯を立てて、それから、ちゅって、キスをして。膝小僧も性感帯? だった? 今、日向の中がキュって俺の指を締めつけた。  唇で触れられそうなところ全部に満遍なくキスをしながら、片方の手は、指は、一番柔らかくて繊細な中を弄る指が、何度か、締め付けられて、その度に理性の結び目が解けそう。 「伊都」 「ン?」 「すごい、好き」  わ。  すごい。 「あっ……ン」  今の、最大級の反則技だ。  脚抱えて、やらしいお尻を指でされながら、そんな上目遣いで、そんな可愛い好きは、最大級の反則技でしょ。 「あ、伊都」 「きつかったら、言って」  脚を抱えた。広げて、君の濡れた敏感なところ全部を見つめながら、ヒクついてる小さな孔に硬い熱で触れて。 「あぁ……ン、へ、い……き。キツくない、し、キツくてもいい、の」 「っ」  そのままゆっくり君の中へ。 「伊都」  君の白い脚はお行儀悪く、俺の腰に巻きついて、白い腕は俺を捕まえて、首にしがみつく。 「あぁっ……ン」 「っ」 「あ、あ、あ、伊都」 「うん」 「伊都のこと、だ、ぃ、好き」  まるで独り占めするみたいに抱きついて、離さない。 「すごくすごく好き、なの」 「うん」 「誰に触らせたくないなんて、ごめ」  そう呟いて君よりずっと大きい俺を隠したいみたいに腕を首に絡めて、深くキスをしてくれた。頬を両手で抑えて、舌が絡まり合う濃厚なキス。 「伊都……好き」  隠したい。 「日向」 「ぅ、ン」  けど、隠されたら見たくなる。 「あ、あ、伊都の、大きい、よ」  どんな大事なものなんだろうって。そんなに誰にも取られたくないものなのかなって。  気になるよ。 「ひゃあっ…………あ、だめ、だめ、イッちゃう」  君が隠したくて、誰にも取られたくなくてたまらなかったのは、俺。 「はぁ」 「伊都?」  だから……君の大事な大事な、宝物は。 「ごめん。明日、日向はずっとベッドでゆっくりしてて」 「え? あ、あ、あ、待って、俺、イッちゃう! イクっ」 「うん」  君の宝物は、俺。 「あ、ン、伊都」 「うん」  君の大事なものは、俺。 「伊都」 「うん。日向」  クンッて腰を突き立てながらその柔らかい唇にキスをした。優しく、やらしく、甘くてとろけるキスした。 「すごい好きだよ。日向」  俺の大事で誰にあげたくない宝物に、キスをたくさんした。

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