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日向視点のとある日々編 5 日向の葛藤

 伊都が素敵な人だなんてこと、十分わかってる。  ―― あ、いや、浮気されてるとかじゃないんです。ただ、その。  そんなこと伊都がしないってわかってる。  女の子がいる飲み会には絶対に参加しないの知ってる。伊都から言われたわけじゃないけど、話してると女の子がいるところにはいつも行かずにいたっぽかったから。  そんなの気にしなくていいよ。  女の子の方は伊都のこと気なっちゃうとしても、伊都がいつも俺のことを大事にしてくれてるのはすごくすごく感じてるから。  だから全然気にしなくて――。 「……」  でも、いいわけじゃないかも。  全然気にせず、毎回、女の子がいる飲み会に行かれるとちょっと、ちょっとちょっとって思っちゃうかも。  だって素敵なんだもん。  伊都ほど素敵な人はいないって思うもん。  だから、流石に毎回は。  でもでもっ、数ヶ月に一回くらいなら。  たぶん。  うん。多分、大丈夫。  心が狭いかもしれないけど。  だって、絶対にモテるんだもん。  女の子がさ、セクシーな服とか着てきちゃったら?  すっごい可愛い子だったら?  すっごい美人だったら?  アピールすごかったら?  断るだろうけど、そもそもアピールされちゃうのがさ。  心が狭い! かもしれないけどっ。  それにさ。  ――なんていうか、他、知りたくなるのかなって。 「…………」  いや、それはないと思う。  他は、他の人と付き合ってみたいとかはない…………と、思う。  ――だって、一生のうちで、俺のことしか知らないのって、もったいないなって思うんじゃないかなって。  だ、大丈夫! そこはきっと俺と同じって思います。きっと。  俺は一生のうちで伊都しか知らなくていいです。ほんと! これは、本当にほんと! 伊都もそう思ってくれてる。伊都は学生だから、まだだけど、いつかは伊都のお父さん達みたいにって、思ってると、思う。 「……」  けど、さ。  別のことも、思った。  ――ぶっちゃけ。  そう、ぶっちゃけてしまうと。  ――飽きたり、しないかなって。  そう、飽きちゃったり、しないかなって。  俺は、飽きないよ? ちっとも。いつもドキドキしてるし。いつだって伊都のかっこよさにクラクラしてる。でも、別に俺、なんていうかテクニシャン? なんていうの? 別にそういうのが上手なわけじゃない、と思う。他を知らないから比べようがないけど。でも技術があるわけじゃない。  技術って言い方も変かもしれないけど。  でも、いつも同じ、って思ったりしないかな。  あ。  そう!  そうそう!  マンネリ!  マンネリになってないかなって。 「……」  でも、何をしたらマンネリじゃないのかわかんない。 「…………」  けど、経験が少ない俺にそんなのわかるわけなくて。 「………………わ」  思わず、声、出ちゃった。  スマホで調べてみて。  ――いつもより刺激的なセックスをしてみたい?  え、えぇー、いやー、刺激的っていうか、もう今もドキドキしてるからその辺は大丈夫かな。って、いや、俺じゃなくて伊都の方か。伊都はどうなんだろう。刺激的なの、好きなのかな。  ――回数が不満。  あ、それは俺は大丈夫。けど、伊都は、足りてる? その、体力あるでしょ? 俺はあんまないと思う。一回でも十分満たされる。  ――一度でいいから思いっきりイってみたい。  これも大丈夫。うん。全然、大丈夫です。毎回、そうなので。けど。  ――毎回同じ流れ、同じ内容じゃ物足りない!  これ、かも。  毎回同じ流れ、というか、生活の一部っていうか。  スクロールをしていくと、耳まで熱くなってきた。だって、目隠しとか拘束とか、って。す、すごいこと、してるから。  ひゃ、ひゃぁ……オモチャって。え、えぇー?  わっ。  いや、無理でしょ。俺がそんなの使ってしたらさ。ちょっと恥ずかしくて、蒸発しちゃうと思う。  わ。  セクシーな下着、だ。 「………………」  いや! 無理無理! 全然無理! そもそも似合わない! キャラ、違いすぎて! こういうのはさ、もっと、なんていうか色っぽい人がするからいいわけでっ。  じゃ、じゃあ、目隠し? とか? このサイトにも一番手軽で、けっこう興奮する人がいるって書いてあるし。  でも、伊都、引いたりしない?  そ、それに、何で目隠し? タオルとか?   タオルは、おかしいか。この間、伊都と一緒に見た、刑事もののドラマみたいになっちゃうよね。泥棒が入ったのかって心配かけちゃそう。あとは……ネクタイ? 皺になったら困るし。拘束、とかも道具ないし。  できて、ちょっとセクシーな格好くらい?  あ、伊都のシャツとか? サイズ大きくて、お尻まで隠れるから恥ずかしさが少し軽減されるよね。それで、ちょっと誘って、み。 「っ」  みたり? 「っ、っ」  みてみたり?  や、でも想像しただけで恥ずかしさに蒸発しそうなんだけど。む、無理。セクシーに誘うとか、もう、全然。  でもでも、頑張ってやってみたりしたら、その伊都も喜んでくれたりとか。  わ。  わわ。わわわっ。  ぎゃあああああああ。 「……何してんの?」 「わああああああああっ!」  思わず、心の中の叫び声が外に溢れちゃった。 「ソファの上でそんな動き回って。落ちちゃうよ?」 「い、伊都っ! いつの間に!」 「今、帰ってきたとこ。ただいまって言ったけど、返事なくてどうしたのかと思ったら、一瞬ソファの陰で見えなくて、焦った。電気つけてどこ行ったんだろうって。いたけど。何? 具合悪い? お腹痛い?」 「い、痛くないっ、よっ」  その時、握りしめてたスマホが手から落っこちちゃって。 「!」  伊都が、それを拾ってくれて。 「?」  そのスマホには大きく、大人のオモチャの写真と、ソフトSMなんて、ワードが並んでいて。  伊都が自身の手の中にあるスマホを見て、目を丸くした瞬間、穴があったら入りたい、どころか、今すぐにでも蒸発したくて、たまらなくなった。

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