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日向視点のとある日々編 7 愛も変わらず両想い
え? あの。
ちょっと。
「んー、何かないかな……」
あの、え? あのっ。
「あ、これでもいいかな。ネクタイ」
「!」
「大学入学式の時の」
「い、伊都っ?」
本当に目隠しすんの? あのっ、そのネクタイ、で?
「あ、日向、晩御飯食べた?」
「た、食べたよ」
「オッケー」
オッケー、じゃないよ。ねぇ、あの。
「何食べたの?」
「パスタ」
「おー、いいなぁ。打ち上げ、日向も来ればよかったのに」
「いや、俺は」
「全然大丈夫だって……あ、けど、日向にちょっかい出されるのもなぁ」
「っ」
伊都のネクタイが瞼に触れた瞬間、ドキッてして、肩をすくめた。今日あった出来事を教えてくれる日向ののんびりとした声だけが耳に触れて。
前、見えなくなっちゃった。
「はい。結べた」
「伊都っ、酔ってる?」
だって、目隠しなんて。
「あはは、そうかもー」
そうかもー、じゃないよ。普通の時の伊都だったら、しないもん。
「けど、酔ってるからとか、日向とするのがマンネリとか飽きたとかじゃないよ」
じゃあ。
「ただたまにはちょっと変化あってもいいかなって」
「伊都」
「…………なんて」
「?」
「ホントはちょっと危機感?」
「?」
「日向の職場の後輩に」
「! そんなのっ」
「うん」
必要ないってわかってるけど、って優しい声が苦笑混じりに呟いてる。
声しか聞こえなくて、顔、見えないけど、伊都と目が合うように顔をその声のするほうに向けた。
ねぇ、いらないってば。だって、俺、すごく好きだよ?
そう思ったってさ。
「なので、少し刺激的なことをしてみようかなって」
「あっ」
他になんて目移りしないよって、言ってもらえたってさ。やっぱり少し気持ちが、ね。
俺も、伊都も。
どんなに伊都が俺だけって言ってくれたって、ああやってサッカーの試合の応援に来ている女の子が伊都のことをキャーっていうのは面白くなくてさ。じっと見ちゃうんだ。
それは、きっと伊都も。
「あっ……伊都っ」
「くすぐったい?」
「ん、ンっ」
首筋にキスをされて肩をすくめた。
それから手が俺の耳に触れて、くすぐったくて、首を傾げると、反対側、まるで差し出すようになった首筋にもう一度伊都の唇が触れる。
「うぅ……ン」
ドキドキする。
「あっ……っ」
手、服の中。
「あ、あっ」
気持ちい。
「ひゃうっ」
伊都の指に抓られて。
「あっ……フっ……っ、っ」
唇だ。乳首にキス、されて、ゾクゾクする。見えない分、すごく敏感で、ただ触れただけでもクラクラするくらいに気持ちいい。甘い声が止まらなくて、自分の口元を手の甲で押さえながら、日向の柔らかい髪が肌に触れるだけでも感じちゃってる。
「伊都っ」
「うん」
名前を呼ぶと唇にもキスをしてくれた。舌を絡めて、吐息ごと食べられるみたいに深く口づけられながら、ぎゅって抱き締められて、そのままそっとベッドに寝かされた。
「伊都?」
「ちょっと待ってて」
あ、多分、服脱いでる。布の音がして、パサって、床に落ちた音も聞こえた。
「!」
それから、伊都の手が俺の腰に触れて、そのままパンツと下着が一緒くたに脱がされてく。
「あっ」
ね、今、見られてる?
何も触れずに、ただ、脱がされただけの俺はどうしたらいいのかわからなくて、脚をぎゅっと閉じた。
「ひゃっ……ンっ」
その足、膝小僧に伊都の唇が触れて。カリカリって、歯を立てられてから、そっと閉じた太ももの間に手が挿入される。ゆっくり肌触りを確かめるように柔らかい肌を撫でられて、今、ちっとも見えてないけれど、でも、自分のが濡れてるのを感じた。
恥ずかしくて。
ねぇって、助けを求めるみたいに手を伸ばすと、伊都を捕まえることができた。
そのまま引き寄せると、抗うことなく俺の腕の中に来てくれる。まだ脱いでいないTシャツを捲り上げられて、胸に一つキスをしてくれた。小さく甘く啼いたら、もう片方の乳首にもキスをして、それから、覆い被さってくれた。重なり合った肌がとても気持ち良くて、柔らかく甘い溜め息が溢れていく。
「あ……伊都……ンっ」
「日向」
「あっ……っ、ああっ」
指、入ってきた。
「中、トロトロ」
「ン、だって」
伊都の指が気持ちいいから仕方ないよ。
「あぁっ……ン、ん」
胸にくれるキスがたまらないから、仕方ない。
「あ、ンっ、伊都っ」
伊都と触れ合ったところが見えない分だけすごく繊細に敏感に感じ取れて、おかしくなっちゃいそうなんだから。
「あ、あっ、伊都っ」
「日向」
優しくて、俺のこと奥までとろけさせちゃう、この指も好きだけど。
「伊都っ」
「い? もう」
「う、んっ、早く」
「ありがと」
「あっ、すごっ」
見えないけど、すごく張り詰めて痛そうな伊都のに触れた。手を伸ばして、熱くなってるそれの先端を「良い子」って撫でると俺のおでこの辺りに伊都の吐息が触れた。気持ちい? 俺の指。
「日向っ」
切羽詰まった感じの声にドキドキした。きっと今、すごくかっこいい顔してる。顔をしかめて、眉のとこにぎゅっと皺を寄せてる。泳いでる時の凛々しい顔とも違うんだ。怒ってる、みたいな顔だけど、ちっとも怖くなくて、それどころかドキドキする。
「伊都、あ、あぁっ」
「っ、日向」
「あ、おっきっ……っ」
「っ」
溶けちゃう。
奥まで伊都の熱でいっぱいに抉じ開けられると熱くて、溶けちゃいそう。
「あっ、伊都っ」
きっと、今すごく、かっこいい顔してるでしょ。
ね。
「伊都っ、目隠し、外したいっ」
「っ」
「伊都の顔、見たいっ」
そして、優しくネクタイが解かれた瞬間、急に明るくなった視界に目が眩しいって、瞬きをした。
「日向」
大きく目を見開くと、伊都がいて。
「伊都っ、あ、もっとっ」
「っ」
「伊都っ」
怒ってるみたいだけど、ちっとも怒ってなくて。苦しそうだけど、苦しいんじゃなくて。
きっと誰も見たことない顔。
「伊都、好きっ」
きっと俺しか知らない。
「好きっ」
俺だけの伊都をぎゅって、まるで独り占めする子どもみたいに抱き締めた。
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