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好き、ということについて編 7 男子だよね

 あの時の女の子可愛かったっけ。  当時、すごく人気だったタレントさんに似てた。男子がよく可愛いって騒いでたアイドルの子にも似てた。  大きな瞳に、黒い髪、前髪が綺麗に横一列に切り揃えられてて。お団子にしていたからとても長いのかはわからなかったけれど、耳の手前からいくつか束ねて下ろしていた髪は肩より少し長くて、彼女が話すと、夏の湿気混じりの風が吹くたびに、ひらりひらりと揺れていたのを覚えてる。  ――あの……すみません。ごめんなさい。  そう言ってお辞儀をしたのを覚えてる。  ――……。  そして、彼女が目を丸くして驚いていたのも、覚えてる。  彼女を驚かせてしまったことに申し訳なく思いながら、自然とその後自分が言った一言に、当時、自分自身がすごく驚いたのも、覚えてる。  ――俺。  そう言って、俺は――。 「あっ、伊都っ……っ、ね」 「? どうかした?」 「あ、の……俺、汗、かいたか、らっ」 「うん」  鼻先を日向の首筋に埋めて、スンと、一つ息を吸い込むと慌てて肩をすくめてる。ちょっと、ダメだってば、って、少しだけ怒ってる。 「日向のシャンプーのいい香りがする」 「っ、しないってば、汗臭いって」  そんなことないよ、って笑うと、何言ってるのって、俺の浴衣にしがみつきながら、困った顔をした。 「ン」  その困った顔が可愛くて、深く唇に口付けながら、舌を差し込んで、日向のことを煽ってみた。吐息が鼻に抜ける甘いものに変わる。 「ン……ン」  困って狼狽えていた指先が、縋るように柔らかく掴まってくれる。 「あっ……ン」  声がハチミツみたいに美味しそうに聞こえる。 「あっ待っ」  ちょっと、待たない、かな。 「っ」  真っ赤になった日向を抱っこして、ベッドに腰を下ろした俺の上に、抱き抱えるようにした。この体勢は浴衣の時こそ、とっても最高だよねって、内心、思いながら、もう一度、目線の高さが変わったところで、見上げるようにしながら唇を重ねた。 「ンンっ」  俺の上に跨るような格好になると、浴衣じゃ、日向の白くて素敵な太腿が顕になってしまう。その太腿を手のひらで撫でると、膝の上に跨っていた日向がびくんと跳ねてくれた。  ゾクゾク、した? 「あっ、伊都っ」  俺は、ゾクゾクしたよ。 「あ……ン」  一番美味しそうなところは後のお楽しみにして、日向の白い浴衣の袖からするりと手を忍び込ませる。  同じ男なんだけどなぁ。 「伊都……」  どうして君の素肌は触れるとクラクラするんだろう。 「ン」  どうして君とキスすると、こんなに幸せな気持ちになるんだろう。 「あっ、あっ」 「日向」 「あ、伊都の指、入っちゃう」 「うん」 「あ、あっ……ン、っ……っ」  ローションを纏った指で君の中を撫でていく。柔らかくて、熱くて。 「お酒、飲みすぎてない?」 「う、ン」 「うちの実家行くと、日向すぐに酔っ払っちゃうから」 「だって、ご飯、美味し」 「酔ってる日向、可愛いけどね 「ン」  お酒が入ってるからか、今日の日向の中はすごくすごく熱くて、後でここに……って思うと、頭の芯が痺れて、なんも考えられなくなるんだ。  君のことしか頭の中になくなっちゃう。 「あっ、伊都っ」 「うん」  君とこうしてたいってことしかなくなっちゃう。 「う、ン……ん、ン」  君としたくて、たまらなくなっちゃうんだ。 「あっ」 「平気?」 「う、ん」  ここに早く、挿れさせてって、そのことばっか考えちゃうんだ。  けっこう、みんなに言われるんだよね。他の男子に比べて、「それ」ばっかじゃないとこがいいって。淡白、っていうのかな。なんか、おじいちゃんみたいだけどさ。いわゆる女の子のお尻ばっか追いかけてる感じじゃない、みたいな?  けど、そうじゃないんだ。  女の子のお尻は追いかけてないけど。 「……フ」 「? 伊都?」 「なんでもないよ」  好きな子のお尻は追いかけてるし、好きな子との「それ」はいっつも頭の中にあったりするし。  淡白どころか。 「? 何? あ、ちょ、待って」 「んー、待ちません」 「あ、ちょっ」 「待てない」 「っ、ン」  日向の名前を呼ぶ自分の声が掠れてた。 「あ、あ、あっ……ぁっ」  必死感、すごいよ。夢中になって日向の中に挿っていく。君と。 「あ、ぁ、あぁぁっ」  繋がることで頭の中がいっぱいなんだ。 「あ……つい……伊都、の」 「っ」 「あ、や……動いちゃ、ぁっ」  クチュ、って甘い音がベッドに響く。浴衣はもうくしゃくしゃだ。乱れた浴衣姿の日向の首ったけで、ただただしがみついてくれるのが嬉しくて。  ただ、君の中にぎゅっとされるのが気持ち良くて。  頭の中なんて、空っぽだ。  君のことしか目に入らないし。頭にない。 「あ、あ、あ、伊都の手、気持ちぃ」 「そ?」 「う、ン、もっと触って……あ、待って、乳首、や、イッちゃうっ」 「うん、いいよ、たくさんイッて」  楽しみにしてた乳首についに口付けて。  気持ち良すぎて腰を引きそうになる君のことを捕まえて、深く深く貫きながら。 「あぁっ……それ、ダメ」  どうして君の素肌は触れるとクラクラするんだろう。 「ン……ン、ふ……ん、っ」  どうして君とキスすると、こんなに幸せな気持ちになるんだろう。 「あ、伊都っ」  どうして君とするセックスは、こんなに満たしてくれるんだろう。 「好き」 「うん」  淡白なんかじゃちっともない俺は、君のことをいつもヘトヘトになっちゃうまで手放してあげられないんだ。 「俺もすごい好き」  そしていつも翌日反省する、ちゃんとほかの男子と同じように呆れられちゃう奴なんだ。

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