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第38話 柔らかセックス
「力、そのまま抜いてて」
「あ、伊都っあの」
「痛かったら、言って、すぐにやめるから」
日向は小さく、でもしっかり頷いてから、顔を俺には見えないようにって懐に潜り込んで、まるで猫みたいに丸まった。
「あの、痛そうに、もし、しても、やめないで」
「……ひな、」
「初めてだけど、その、したこと、あるんだ。あっ! あれ! あの、ゲイだからっ、その、そこ、使うって……わかってたから」
ひとりでしてみたんだって、本当に小さな声で教えてくれた。
「でも、違和感ばっかだった」
「……」
「その、気持ち良くなくて、お腹ん中がひっくり返るような感じしかなくて、全然で」
自分がゲイっていう自覚はあるのに、でも、そこで快感を得られないのがひどく悲しかった。そのくせ、女の子を好きになれるわけでもなくて、どうしたらいいのかわからないしって、そっと話してくれる。
「俺、人を好きになっちゃダメなのかもって、思ったりもして」
もう、なんで、日向ってそうなんだ。優しくて繊細で、でも、柔らかいだけじゃない。
「だからっ! あの、もしかしたら、痛そうな顔するかもしれないけど、でも! やめないで! 俺っ」
そんな君だから好きになった。学校っていう世界に否定されて悲しくて仕方なくても、自分を偽ることはしなかった君だから、こんなに愛しくてたまらないんだ。
「俺、伊都としたい。だから……お願い、俺が泣いても」
「やめないよ」
こんなに細いのに、その華奢な体には誰にも折ることのできない芯をちゃんと持ってる。
「やめないし、きっと、気持ちイイよ」
手で君の脚を割り開くと。その太腿の内側にもキスをする。膝小僧にも、お腹、へそのところにも。くっつけられるだけ、印も一緒にくっつけながら、ローションを自分の手に垂らした。
「日向」
「……ぁ」
とろみにある透明なジェルをまとった指で、そこに触れて、そのままゆっくり抉じ開けた。
緊張しないように、怖がらせないように、日向が気持ちよさそうにしていた胸、乳首にキスをしながら、ローションで濡れた指を身体の奥にある孔へ。
「あっ……ン、伊都」
中は狭くて、指の侵入に驚いてきつく締め付けるけど、でも、日向の声が甘いままだった。
「ん、やぁっ……な、で……ぁ、伊都、変」
「痛い?」
「ゾクゾク、するっ」
「うん」
ニコッと笑ったら、君が俺の指をきゅんっと締めた。ドキッとした? 俺は、ずっとそうだよ。君が俺の指にさえ甘い声を上げて、背中をしならせて溜め息を零してくれる姿にずっと、ドキッとしてる。君を腕の中に閉じ込めてるのに、まだ、もっと独り占めしたくなる。
キスをしながら、中を指で広げ続けた。
ねぇ、キスするのは首筋とかよりも乳首が好き? 問いかけるように吸うと、声が答えてくれる。
「あっ、あぁっ……ン、ひゃああっ」
口に含んで、舌先で転がすようにしながら、指を小刻みに動かす。最初きつくて、動かすのすらちょっと躊躇うくらいだったのに、肌にキスをする度柔らかくなっていく。声の糖度が増す度に、日向の身体から力が抜けていく。その時だった。
「あ、っやああああっン、あっ、あ、何っ」
「きっと、前立線」
知ってはいたけど、でも、実際には初めて触れた。そんなに奥のほうじゃない。柔らかくなった内側にちょっとだけ指に抵抗する感じがあった。それを押してみた。きっと、これが、そう。
「あっ、やだっ、それ、したらっ」
ここが日向の良いところ。体勢を変えて上体を起こして、そこを激しくは突かないで、そっと、触れた。大事に大切に、全部が気持ち良くなるように、ほんのちょっとも違和感なんて感じないように。
最初びっくりして、指を食いちぎりそうなほど孔の口を締め付けたけど、前立線に身体は跳ねるけど、でも、柔らかい。伊都の声も内側も、ちゃんとほぐれてく。
「あ、あっ、伊都」
「大丈夫だよ。まだ、痛い?」
「わかんなっ、い……でも、熱い」
視線もトロンと柔らかい。
「熱くて、おかしくなりそう、伊都、お願い」
「……」
「も、俺、ちゃんと、気持ちイイ、から、して」
「っ」
ふわりと広げた手をこっちへ伸ばして、かろうじて触れた指先で、俺の心臓のある辺りをカリカリって爪で引っ掻いた。そして、そのまま指で筋肉をなぞるように下までたどって、下腹部で、またカリカリって爪を立てる。微かな刺激でも、今の俺にとってはひどく強くて、自然としかめっ面になった。それなのに、気持ちイイピンク色に染まった指先は、一度出したにも関わらず、また痛いくらいに張り詰めてる。そこに触れて、先端を指で撫でて。甘えた声と視線で俺の理性を溶かす。
「伊都ので、して」
「……」
「お願い、伊都のが、いい」
コンドームを取る指が興奮で震えてた。
「日向」
そそり立ったペニスにそれをつけて、そして、君の脚を大きく割り広げて、その膝小僧にキスをしたら、小さく可愛い声で鳴いて、それにすらまた身震いするほど興奮して。覆い被さって、繋がれるように君の脚を抱える。
「あっ……」
声を自然と零した日向の体温に俺が包まれていく。
「っ、日向っ」
これが君の本当の体温。
「すごい……あったかい」
「あ、伊都」
君の名前のまま、日向のようなあったかくて優しくて、心地イイ。
「伊都」
「っ」
「なんか、いつもカッコいいけど、今、なんで、そんな男っぽくてカッコいいの、あっ、ひゃあああっあっ、ああっ……ンっ」
ぞくりと身体が火照るから、そんなこと突然言うのはダメだよ。
「日向っ」
なんで、そんな、いつも可愛いのに、今、もっと可愛い顔して、可愛いこと言うの。
「あっ、ああっ、ン、伊都、激しっン、んん」
「ダメ、日向、噛まないで」
止められなくて、君のことを激しく揺さぶりながら、キスをした。深く、やらしく舌を絡ませながら、小刻みに腰を打ちつけて、君の中を突き乱す。気持ち良くて、熱に浮かされてるいたいに、君の中を味わうことしかなくて、その手に
「噛むんなら、俺の背中にして」
「あ、や、だっ、噛めないっ、伊都っの」
「あと、手、こっち、爪立てていいから」
枕をぎゅっと握りしめるその手を捕まえて、首にしがみつかせた。掴まるなら俺にして。枕なんかじゃなくて、俺に。
「や、できないっ、伊都のことっ」
「してよ」
激しく揺さぶって、奥深くも、入り口の浅いところも、君の前立線も、全部で俺を感じて。俺も、君の体内の一番柔らかいところを独り占めしてるから。
君の深いところを突く度にパチュンって濡れた音がした。それと日向の喘ぎ声。
気持ちイイ?
「日向になら、爪立てられても、噛まれても、全部、気持ちイイよ」
「何、って……、あっ、ああああっ」
「掴まって」
これが君の体温。
「あっ、やぁっ……ン、 イっ、く……伊都、も、」
「日向」
これが俺の熱量。
二人の全部何もかも掻き混ざって、ひとつになって。
「ああっ、あ、あっ伊都、いと、ぁっ……イッ…………っ!」
「っ日向」
ぎゅっと力いっぱい抱き合ってたら、熱量だけじゃなくて、この身体の全部が蕩けてミックスになりそうだった。甘い甘いミックスジュース。
「あ、ああああああああっ」
だから、ほら、ふたり一緒に達しながら、交わしたキスもトロンと蕩けて、とても甘くて美味しかった。
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