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第4話
「……へ?」
神尾の声も掠れてしまった。
テーブルにワインが少し零れ、それを近くにあったティッシュで慌てて拭いた。
「…なんだよ、もっかい『おめでとう』って言えってか?明日になれば、耳にタコができる位言ってやるって」
「違う」
山下の声ははっきりと否定した。まるで、お前の本心は知っているんだというような声音に、神尾は言葉が続けられない。
「もっと…、ずっと前から、俺に言いたいことがあるんじゃないのか?」
神尾の体温がスーと下がっていく。冷や汗が出て、じっとりと服が肌に貼り付く。それなのに、目元だけが熱くて仕方なかった。
山下が動く気配がして、ポンと優しく肩を叩かれた。
「なぁ、りょ」
「っっ、触るなっっ!!」
ビクッと大袈裟なほど、肩を奮わせると神尾は山下の手を叩き落とした。一瞬だけ驚いた顔を山下はしてから、手の痛みよりも痛そうな表情をして、神尾を見つめた。その瞳を見た瞬間、張り詰めていた感情が一気に溢れて、神尾の頬を伝い落ちた。
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