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第7話
だから次の日の学校では「どうすれば隼斗に嫌われることが出来るか」をずっと考えていた。
そうして出た答えは……
「ねぇ、今日の放課後ヒマ?」
他の奴と遊んでる様を隼斗に見せつける、というものだった。
「暇だけど、どうしたの?」
よりダメージを与えるには、女よりも男の方がいいだろう。そう考えた俺は、今までにも2回ほど遊んだことのある相手に声をかける。
「……わかってるくせに」
そう耳元で囁けば、彼はくすりと笑った。それは可愛いというよりも、自分の生かし方を知っているあざとい笑み。
「珍しいね、亜紀くんの方から誘ってくれるなんて。なんか嫌なことでもあった?」
「……別に。早く行くぞ」
「りょーかい」
余計な詮索はするなとばかりに歩き出せば、彼もそれに続いてくる。
向かった先は、東棟2階の一番奥。教室や職員室から離れたその教室は、ここを使う部活の活動がある木曜以外は無法地帯と化していた。
いつ、誰に誘われた時からなのかは今となっては思い出せない。気付いた頃にはもう、この部屋に足が向くようになっていた。
放り投げるように荷物を置いて、名前すら思い出せないその男に向き直る。彼越しに見えた時計は、17時を指していた。
まだ約束の時間までは1時間もある。それはいつものプレイでは到底達しない時間で、俺には似つかわしくもない甘くて長いセックスでもしてやろうかと考えた。
「おいで」
俺の言葉に素直に従った彼が、広げた両手の中に落ち着く。そのまま後ろに手を回して引き寄せれば、どちらからとなく唇が触れ合った。
「んっ……」
口の中へと舌を送り込めば、彼もそれに応えてくる。どこか他人事のように、ただ上手いなという感想を抱いた。
……上手いに越したことはない。もっと、もっと全てを忘れられるような深いキスを。
「はっ……亜紀く、苦し……」
相手は慣れているし、優しくするべき相手でもない。利害が一致しているだけの関係なのだから、そう言われても心を痛める必要なんてない。
そんな気を遣わなくていい関係が、今だけはひどく愛しく思えた。
「そんなに、っ……余裕ないの?」
「うるせ……黙って感じてろよ」
だから踏み込もうとしないでほしい。気持ちよくなって、あと1時間後のことを考えないでいられたらそれでいい。
「はっ……んっ……」
余計な言葉を奪うように、呼吸を奪うように、その口付けをより深くする。
首に回された冷たい手が、その感覚に酔おうとする脳の邪魔をした。
「……無理、だな」
やっぱり自分に時間をかけたセックスは似合わない。キスなんて慣れすぎて、どこまでいっても理性を消せやしない。
「何が無理なの?」とでも聞きたげな男の目を見つめて、俺は命令を下した。
「服脱いで、そこに手を付いて」
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