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第9話

白くて滑らかな彼の肌を指でなぞれば、やがて辿り着くのは彼の後孔。その指を自分の口へと誘い湿らせて、再びそこへと舞い戻る。 「指、いれるよ」 「……んんっ」 すんなり入るわけではないが、ある程度使い込んでいるんだろうとは想像できるそれ。動かす度に俺の指は奥へと入っていき、彼の吐息もだんだんと余裕のないものになっていく。 「……あっ、あぁっ……」 ピンと張っていた彼の腕はだんだんと力を失い、そこだけを強調したうつ伏せのような体勢になった。 「はっ……犬みたい」 そんな風に嘲笑して優位に立った気になれば、少しだけ気持ちは満たされていく。 「やっ、んぁっ……!」 彼の感じる場所を探し出し、そこだけをしつこく攻めた。もちろん欲望の吐き出し口は、反対の手で堰き止めたまま。 「手、はなして……イきた……!」 「もう?まだ準備してるだけなんだけど」 とはいえもうそこは3本も指を飲み込んでおり、十分に解れてきている。そろそろいいだろうかと思い、一旦彼の元から全ての指を離して自分のベルトを外した。 「自分で擦り付けんなよ。今から気持ちよくしてやるからさ」 床に転がった鞄の中からゴムを取り出し、既に勃ち上がってきている自身に装着する。 「我慢できな……早く……!亜紀……!」 「……呼び捨てはすんなって」 そう小声で呟きながらも、笑って男のそこに自身を突き立てるのだから、自分はおかしいのだろうと思う。だとしても、それが自分のストレス解消法なのだから仕方がない。 「やっ、あっ……あぁぁぁっ!!」 今までおあずけをくらわされていたからなのか、男は大げさなほどに身体を震わせて果てる。もう彼には、ここが学校だということさえ気にならないようだった。 「気持ちい……もっと、亜紀……!」 「……聞こえねぇか」 カズ以外から呼び捨てにされる不快感。 俺の下で悦がる男への嫌悪感。 自分がどんどんネジの外れた人間になっていく恐怖。 そんな自分がカズの隣に居続ける罪悪感。 そして……それら全てを覆い隠す快感。 「……はぁっ」 自然と詰めていた息が漏れる。 どれだけ気持ちが萎えていても俺の身体は素直なもので。ガツガツと奥を抉るように突けば、自然と気持ち良さが湧き上がってきた。 「あっ、んぁぁっ!!」 彼が再び達すると同時に、後ろもきゅっと締まる。それに呼応するように、俺の欲望も精を吐き出した。 「はっ、気持ち……」 この瞬間の、意識が飛ぶ感覚が一番好きだ。 ゆっくりと自身を引き抜き、精液の溜まったそれを結んでビニール袋へと放り込む。 準備の良すぎる自分に呆れつつも、2回目に突入しようと2枚目の封を切るため手を伸ばした ーーその時だった。

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