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segreto #2 side S
スーパー開店のまでの時間、近くの公園を散策し、心地良い疲れを得た僕達は、ベンチに座わって休憩を取ることにした。そして、葉祐が持たせてくれた袋を開ける。中にはコーヒーの入った魔法瓶とカフェオレを作るための幼児用パック牛乳、それに、プラスチック製のマグカップが二つと同じくプラスチック製の小さな容器か入っていた。
「あっ…いちごジャム…」
容器の中にはいちごジャムサンドクラッカーが入っていた。食があまりにも細く、普段、おやつを食べることがない冬真が嬉しそうに声を上げた。それから続けて、
「真くん…」
早く食べたいとばかりに僕の名を呼ぶ。
「わかったよ。今、手を拭いてあげる。そうしたら食べても良いよ。」
小さいクラッカーの間にいちごジャムが挟まっているだけの素朴なお菓子。冬真はそれを嬉しそうに食べる。それだけのことが待ちきれないほど楽しみな冬真。その姿を見て、鼻の奥がツーンとした。何だかとても切なかった。
「美味しい?」
「うん。すき…いちごジャム…」
「良かった。」
「いちごジャム…仲直りの食べ物…」
「そうなの?」
「うん。もしも…直くんとケンカ…しちゃったら…いちごジャム…食べて…トースト…」
「ありがとう。教えてくれて。でも、何で?どうして、いちごジャムが仲直りの食べ物なの?」
「ないしょ…」
「ないしょ?」
「うん。」
「あっ!もしかして…葉祐とケンカして仲直りした時、食べたんだね?いちごジャムのトースト。」
僕の問いに対し、冬真は頬を朱に染めながら答える。
「ないしょ…」
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