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小さな恋のメロディ #1 〜Twitter詰め合わせ〜
〈side O 〜Osamu kun〜〉
「ご迷惑になるからダメよ!」
ママはそう言ったけれど…僕はとても心配で…心配で心配で仕方がないから、勇気を出して聞いてみたんだ。
「ぼく…とうまパパのおみまい…いってもいい?」
って。
「もちろん!冬真も理君との約束守れなくなっちゃったこと、とても気にしるんだ。理くんが来てくれたら、すぐに元気になるよ!じゃあ、明日!おじさんと冬葉と一緒にお見舞いに行こうか?ママにはおじさんから連絡しておくね。」
冬くんのもう一人のパパ、葉祐パパはニコニコして言ってくれたよ。勇気を出して良かったなぁ…
冬真パパが入院したって聞いたのは昨日の昨日。大好きな人にチョコレートあげる日に会ったんだけど、その時はとても元気だったのに…僕があげたチョコレート、『嬉しい』って言ってくれたのに…
お見舞いに行くと、冬真パパは起き上がれなかったけれど、思ったよりも元気で、お話することは出来たんだ。冬真パパは約束を破ったことをずっと謝っていて、それから、貧血っていうのが酷くなって入院したことと、すぐに退院出来るんだよって教えてくれた。それを聞いて、僕はとてもホッとしたんだ。
ママのお迎えを待っていた時、僕は葉祐パパに聞いたんだ。
「ねぇ、ひんけつってなぁに?ひんけつになると、どんなふうになっちゃうの?」
「そうだなぁ…色々だけど…冬真の場合、クラクラして立っていられなくなっちゃうみたい。」
「どうして、ひんけつになっちゃうの?」
「栄養がね…少し足りなくなるとなっちゃうみたい。」
「とうまパパ、すききらいがあるの?」
僕がそう言うと、葉祐パパは笑ったよ。
「ううん。好き嫌いはないよ。だけど、冬真パパはご飯をたくさん食べられないんだ。」
「びょうきのせい?」
「うん。多分ね。それに加えて外で遊んだり、走ったり、泳いだりすることが出来ないから、あまりお腹がすかないんじゃないかな。それなのに皆、早く元気になるようにたくさん食べさせようとするから、食べることや食事の時間が嫌になっちゃうと言うか、怖くなっちゃったんだね。理君だって、お腹いっぱいなのに食べなさいって言われてさ、ご飯がたくさん出てきたら嫌になっちゃうだろう?そういうのがずっと積み重さなっちゃったんだろうな。きっと。おじさんがそのことに気付いてやれたのは、ずっと後になってからだったんだよ。可哀想なことしちゃったよ。本当に。」
葉祐パパはちょっと悲しそう。
「おじさんだけでもわかってあげて、よかったんじゃない?」
「そうかな…」
「そうだよ!きっと!はやくごはんのじかんがたのしい!っておもってくれるといいね!」
「ありがとう。理君は優しいね。」
葉祐パパは僕の頭をなでなでしてくれた。それからすぐにママが来て、僕達はバイバイしたんだ。
僕はあれからずっと考えてる。どうしたらご飯の時間を楽しいって思うかな。どんな時、早くご飯にならないかなって思うかなって。
「すきなおかずがでたときでしょ…それから…それから…あっ!」
良いこと思いついた!それから、僕はママにおねだりをしたんだ。
「ママ、お願い!どうしても買って欲しい物があるんだ。それはね…」
僕の考えと葉祐パパから聞いたお話をぜ〜んぶママに話したの。そうしたらね、ママは言ってくれたんだ。
「あらっ、素敵!とても良い考えね!早速ネットで探してみましょう。お店にはあまり置いていないだろうから。」
それから二人で一生懸命探したんだよ。
〈side Y〉
お見舞いから3日後、理君は再び病室を訪れた。退院を明後日に迎える予定の冬真は、ベッドの端に体を預けて座れるようになっていた。
「理くん…どうしたの…?何かあったの?」
彼の突然の訪問に驚いた冬真が尋ねると、理君は何故かずっとモジモジしていた。お母さんに促され、理君はやっと、きれいに包装された箱を一つ、冬真に差し出した。
「これは?」
「あっ、あの…その…これは…プレゼント。たいいんするって、ふゆくんからきいたから…」
「わざわざ…ありがとう。開けても良い?」
「うん。」
冬真は丁寧に箱を開けていく。すると、中には新幹線を模したランチプレートが入っていた。
「ぼくね、おこさまランチたべると、とてもうれしくなるの。ごちそうさますると、すぐにまた、たべたいなぁっておもうの。とうまパパもそうなればいいなっておもって…だから…その…」
「ありがとう、理君。僕ね…お子様ランチ食べたことがないの。そのまま大人になっちゃったから…本当にうれしい。大切に使わせてもらうね。」
冬真が微笑むと、理君は達成感で満たされた、とても充実した表情をしていた。その表情はまるで…愛する人を幸せにし、笑顔にさせた時の男の顔。俺の頭の中で、とある映画の曲が流れる。
♪小さな恋のメロディ
そう…それは新たなライバル出現の瞬間だった。
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