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成人の日に #1 side Y
〈お読みになる前に〉
私の拙作をお読みくださりありがとうございます。
このお話は、twitter(プライペッター)の方でアップしていたお話なのですが、残念ながらお一人にしか読んでもらえず、失意のまま取り下げた、私の中ではちょっと悲しい思い出のお話です。でも、せっかく書いたお話ですし、私の中では割と重要なお話になりそうなので、もう少したくさんの方に読んで頂けたらと思い、こちらの方にアップさせて頂きました。
成人の日の昼下がり、宿題を広げる冬葉と葉祐の会話です。
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「どうした?冬葉?ぽや〜んとして。あっ、もしかして宿題分かんないのか?」
ダイニングテーブルで宿題を広げる冬葉。声を掛けるとそれまでのぽや〜んとした顔から一転、俺を睨み返す。
「ちがうよ!しんちゃんとなおくんのこと考えてたの!」
「真と直?」
「うん!二人ともかっこよかったなぁって。いつもとちがうおようふくだったし。」
「ああ、成人式だからな。」
「せいじんしきってなにするの?」
「今日から大人の仲間入りですよっていう話を聞いて、記念のお土産もらってって感じかな。」
「それだけ?」
「まぁね。成人式の楽しみはそっちじゃなくて、友達に会うことだったりするんだよ。遠くにいてなかなか会えない友達とかさ。」
「ようすけパパはとうまパパと行ったの?」
「う〜ん…その頃はお互いとても遠い場所に住んでいたからな。冬真は写真だけ撮って、式は欠席だったんじゃなかったかな。冬葉もその写真、見せてもらっただろ?」
「うん!おひなさまのおとなりの王子さまみたいでかっこよかった!」
「お内裏様のこと?あれは違うよ。あれは袴。あーあ、真にも着てもらいたかったな…あの袴。あんなに頑なに拒否しなくても良いのに。」
「なんで?なんで、しんちゃんはイヤなの?」
「恥ずかしいんだって。」
「じゃあ、ふゆくんがきてもいい?」
「えっ?着てくれるの?」
「うん!だって、かっこいいんだもん!」
「冬真の物を子供達が受け継ぐ…これは葉祐パパの細やかな夢なんだよ。ありがとう!冬葉!」
「どういたしまして!それより…ようすけパパ?」
「何?」
「しんちゃんとなおくん、きょう、ちゅ〜するかな?」
「えっ?」
「ちゅ〜だよ!ちゅ〜!あんなにかっこいいだもん。ちゅ〜するよね?うふふふふ。」
「えーっと…冬葉?なっ、何で?かっこいいとちゅ〜するんだよ?」
「だって、だいすきな人がステキだったら、ちゅ〜したいなっておもうでしょ?ふゆくんだって、したことあるし。」
「えっ?!」
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