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Assortment #3 〜Twitter詰め合わせ〜
「どどーん!ぱっ!ぴかぴか!」
「うふふふ…」
「きれい?おもしろい?もういっかいやるね!どどーん!…」
「さっきから随分賑やかだけど、何やってるんだ?」
「はなびごっこだよ。ふゆくんはいま、はなびになってるの。」
冬真を前にして、声を上げながら全身をぶるぶると振るわせる冬葉は、得意気に言う。
2017.8.27
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「花火?」
「うん。このまえのはなびたいかい、とうまパパ、おねつでいけなかったでしょ?だから、ふゆくんがはなびになって、とうまパパにみせてあげてるの。」
そう言って、冬葉はまた同じことを繰り返す。俺は冬真にそっと耳打ちする。
「花火って言うより、どう見ても電気ショックだろ?あれ…」
2017.8.27
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冬真もそっと耳打ちで返す。
「ぼくのためにがんばってるんだ…思いやりのある、やさしい子なんだよ…ようすけがそういう子に育ててくれた…ありがとう…ようすけ…」
「冬真…」
「ようすけに育ててもらったら…ぼくも冬くんみたいな…すてきな子になったかな…」
少し寂しげに微笑む冬真に、涙が一つ溢れた。
2017.8.28
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「そんなこと言うなよ!子供達は俺達二人で…沢山の人に助けられながら育てたんだ。二人で頑張ったんだ…」
「うん…」
「あれぇ?ようすけパパ、なんでないてるの?あっ!ふゆくんのはなびに、かんどーしたんだね!じゃあ、もっとみせてあげる!どどーん!ぱっ!ぴかぴか!」
冬真が冬葉を抱きしめた。
2017.8.28
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冬葉を抱きしめた冬真が言う。
「ぼくも…冬くんみたいに…冬くんみたいだったら…良かったのに…」
「えーっ?とうまパパ、ふゆくんみたいになりたいの?」
「うん。」
「ふゆくんはとうまパパみたいになりたいのに、とうまパパはふゆくんみたいになりたいなんて、おもしろいね!うふふふ…」
2017.8.31
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「冬葉は何で冬真パパみたいになりたいの?」
「だってさ、みんな、とうまパパのことだいすきじゃない!おうちのひとだけじゃなくて、ジジやババ、しょうごおじさんにおけいちゃん、おさむくんも。それってスゴいよね!うふふふ…」
今度は俺が冬葉を抱きしめる。
冬葉…やっぱりお前…ただもんじゃねーな。
2017.8.31
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その日、急に発熱した冬真さんは、随分と落ち込んでいた。その日は市内の花火大会が開催される日で、子供達は冬真さんと出掛けることを随分前から楽しみにしていた。そんなことも叶えてやれない自分をずっと責め続けている。こういう時の冬真さんは、まるで子供と一緒。さっきから布団を被ったまま何も言わない。
2017.8.29
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葉祐さん曰く『天の岩屋戸』らしい。それなら正攻法でアタックするしかない。
「熱が下がったら、一緒にジャムでも作りませんか?」
布団がピクリと動き、俺は苦笑する。
「何ジャムが良いですかね。今の時期なら桃なんてどうでしょう。桃は真の好物ですし…」
『真の好物』という言葉で、またピクリと動く。
2017.8.29
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「冬葉の好物、ミルクジャムも良いですね。でも、きっと全部舐めてしまって、また葉祐さんに怒られてしまいますね…ああ、どうしたものか…」
わざと大袈裟に言うと、堪え切れず、冬真さんが顔を出す。
「俊介さん…」
「分かってます。両方作って、二人共喜ばせましょう。早く元気になりましょうね。」
2017.8.29
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