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Assortment #5〜Twitter詰め合わせ〜

目覚めると…冬真は泣いていた。 こうして、ぼんやりとベッドの中で静かに涙を流す時は、おおよそ子供の頃の夢を見た時。 「冬真、俺を見て…」 返事はないが、言葉通り俺を見つめる。 「大丈夫。俺達もう子供じゃない。だから、それは続かないよ。」 その言葉に安心したのか、冬真は再び瞳を閉じた。 程なく小さな寝息が聞こえて、小さく安堵の息を漏らす。誰にも話していないことが、まだまだたくさんあるんだろうな。吐露することが出来ない苦しみや悲しみを、冬真は一つ一つ小さいカプセルに封じ、再び自分の中にしまい込んだ。 大丈夫!俺がいつか全部取り出してやるよ。 がちゃがちゃ…とね。 2017.12.3 ******************** かわいいんだよなぁ…ほんと。 俺の作ったおにぎりにパクついて、俺を見つめながら、目を見開いて、こくんこくんと小刻みに頷く。こんな姿を見ちゃったら、落ちるでしよ?普通。 「このおにぎり美味しいね!直くん。」 「おうっ。」 そりゃあそうだよ。だってお前が喜ぶ前提で作ってるんだから… 2017.12.3 ******************** 「このおにぎり、大葉が巻いてあるっていうのがポイントだね!美味しい!」 俺の中のかわいいの絶対的エースが笑顔で言う。だけど、中継ぎのエースがそれを全否定。 「うぇ〜このおにぎり、はっぱがなければおいしいのにぃ〜」 この上なく苦々しい顔で言う冬葉。 ああ神様。俺はどちらの球を受ければ良いのでしょうか? 2017.12.3 ******************** 板ばさみで苦しむ俺に救いの手を差し伸べるのは、いつだってかわいいの大御所。 「冬くん…このおにぎりはね…直くんが真くんのために考えて作ったんだ。だから…葉っぱなしじゃダメなんだよ。今度は…冬くんのためだけのおにぎりを考えてもらおうね…」 すっかりご機嫌の冬葉。さすがだね!ありがとう。冬真パパ 2017.12.3 ******************** 寒い… 温もりを求めて隣の布団に潜り込んだけど、いつも温かいその場所も、今日は冷たかった。 「そっか…直くん…バイトだっけ…」 バイトの日、直くんは実家に泊まる。最終バスに間に合わなくて、こっちに帰って来れないから。 寒いよ…寂しいよ… それらの感情を誤魔化す様に、小さく丸まってまた眠る。. 2017.12.4 ******************** その言葉は、あまりにも意外だった。 「直くん…ぼくを…かいものにつれて行って…」 冬真パパが突然言いだした。冬真パパの中では葉祐さんが絶対だから、俺に頼み事をしたことが本当意外だった。 「俺は全然平気だけど…良いの?葉祐さんじゃなくて。」 「うん…ようすけを…ビックリさせたくて…」 冬真パパはすでに顔が赤い。かわいいなぁ… 「サプライズだね!俺そういうの大好き!いいな〜葉祐さん、羨ましい!」 「ごめんね…真くんは…」 パパは潤んだ瞳を向ける。 「大丈夫!真の性格は分かってるからさ。そこがかわいいところなんだよ。」 パパは小さく微笑む。似た者親子。本当かわいいな〜 2017.12.6 ******************** 「すがのぉーっ!」 キャンパス内で友人に突然呼び止められた。 「お前さ、作家の里中真祐と知り合いって話、本当?」 知り合いって…いやはや、鞄の中に真お手製の弁当が鎮座してるんですケド。 「高校の同級生。仲は良い方だったけど、いつも一緒だったってワケじゃねーよ。」 返事はこれに統一。真と俺の関係を知っているのは、高校の友人三人だけ。一人暮らしのアパートに、週末、転がり込むつもりだった彼ら。アパートを解約した際、事情を話した。俺も友人も真の仕事の邪魔をしたくないから、真のことは黙ってる。現にこういう場合、サインを求められる事が多い。でも、そいつは違った。祖父の入院で気落ちしている祖母。真のファンである彼女を励ますために話すつもりらしい。身近に真の友人がいたと。それを真に話すと、「早く退院出来ると良いね。」とだけ言った。翌朝、鞄の上に見慣れない紙袋があり、覗いてみると、中にはサイン本と励ましが書かれた一筆箋。 ホント、いい子だよなぁ。 2017.12.10 ******************** 「きょうはなにがでてくるかなぁ…」 今日と同じ数字が書かれたその場所を、胸を高鳴らせながら冬葉は開ける。それは12月に入ってからの彼の日課。アドベントカレンダー。そこから取り出したのは、色とりどりの小さな星が詰まった透明なカップ。 「なぁに?これ。」 「こんぺいとうだよ…」 懐かしそうに少し眩しそうな表情で冬真パパが言った。 「こんぺいとう?」 「そう…キレイでしょう?とても甘くてね…幸せの食べ物なんだよ…」 「しあわせって、ニコニコちゃん?」 「うん。」 「じゃあ、ごはんたべたらみんなでたべよう!」 冬葉がカップを軽く振る。カサカサと幸せの音がした。 2017.12.17 ******************** 「ツリーのてっぺんにさ、欲しい物、書いた手紙を置いておくとさ、夜に天使がやって来て、その手紙、サンタに届けてくれるんだよ。お前ちゃんと書いたのか?俺もさ、クリスマスイブの晩にどうやってサンタが冬葉の部屋まで来たら良いのか、ちゃんと手紙で教えておくからさ、もう泣くなよ。絶対サンタは来る!俺が保証する!」 自分の家には煙突がないから、サンタさんが来ないと泣きじゃくる冬葉に直くんはそう言った。 全く…どんな根拠があって、そう言い切れるの? 世界で一番の根拠のない保証。直くんはホントいい加減。そんな彼に僕はいつも呆れ顔。 皆が寝静まってから二人、リビングのツリーに置いてある手紙を見に行った。 「あはははは…冬葉らしいな〜あはははは…」 「どれどれ…えっ?」 そこにはやっと書ける様になった可愛い文字で『ちょこれーと』と書かれたいた。 「この手紙、真の机の中にしまっておいて。真の書斎なら絶対に入らないからさ。」 「うん。」 「明日、喜ぶだろうなぁ…手紙がなくなってる〜って。」 「そうだね。」 「しっかし、本当に欲のないヤツだよなぁ…冬葉は。サンタにチョコレート頼むなんてさ。」 「冬真に似たんだね。きっと。」 「よーしっ!最高に楽しいクリスマスにしてやろうっと!準備で忙しくなるぞ〜」 直くんは楽しそうに笑う。 直くんはいい加減。 でも、何をするにも楽しんでする人。 そして… 誰かを幸せにする天才。 そういう彼が…僕は… いつでも眩しい。 書き下ろし ********************

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