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大雪の日に 〜Twitter詰め合わせ〜

〈side Y〉 『積雪による交通機関の乱れにご注意ください。』 天気予報通り、しんしんと雪が降る窓の外には静かな銀世界が広がっていた。それをじっと見つめる冬真の横顔は、雪の反射のいたずらか、普段よりも更に透明度が増し、そのまま消えいってしまいそうだった。怖いぐらいに。 それを引き止めるように、後ろからその細い腰にふわりと抱きついた。 「冬真…」 冬真は少し驚いたようだったが、それには構わず、ずっと無言で抱きしめた。 「大丈夫…ぼくは…ここにいる…」 冬真は言う。何度も何度も。そして、俺の手の上に自身の手を重ねた。その手の冷たさが、更に俺を不安させた。 〈side T〉 突然、背後から腕が回された。 「冬真…」 葉祐はそれきり何も言わない。僕を抱きしめたまま。こんな時の彼は不安に襲われている。僕を失うかもしれないという不安。雨や雪の日が続くと、この不安は彼を支配した。それを打ち消したい彼は、僕の体を貪るように求める。声、体温、吐息、全てを確かめるように。 自身の五感を最大限に生かして僕を抱いた葉祐は、最後に僕の頬を一筋撫でた。そして…静かに涙を流す。恐らく、後悔と自責の念に苛まれている。そんな彼を僕は堪らなくなって、再び薄い、傷痕だらけの胸に収める。 「泣かないで…君はわるくない…何も…」 小さく嗚咽を漏らす葉祐に、僕はそう何度も繰り返す。 僕と出逢ったことで、葉祐は得た物と失った物、どちらが多いのだろうか?出逢わなければ、少なくとも今日のような不安や後悔を知らずに過ごしていたに違いない。やはり、僕は葉祐に出逢わなければ良かったのだろうか? 雨や雪の日が続き、葉祐が不安に陥ると、僕はそんなことばかり考えている。 突然電話が鳴った。 僕の胸で小さく泣き続ける葉祐の肩を、慰めるように軽くポンポンと二回叩いてから、枕元にある受話機を取った。 「もしもし…」 『あれ?お父さん?珍しいね。葉祐は?』 電話の主は真祐だった。子供達は昨日からお景さんのお宅にいる。雨や雪の日が続くと、この地では立ち往生になることもしばしば。そんな時、子供達は天候が安定するまで、市内の中心地にある平塚家でお世話になった。平塚家からだと通園通学もかなり便利になる。 「少し…疲れたみたい…」 『大丈夫そう?』 「うん。」 『お父さんは?大丈夫?』 「うん。」 僕の返事を聞いて安心した真祐は、今日一日の出来事を話してくれる。 『あーん、ふゆくんも!』 真祐の声の更に向こうで、冬葉の声が聞こえた。 『ちょっと待って。冬葉がどうしてもお父さんと話したいって。』 「うん…」 『あっ、とうまパパ?ふゆくんだよ。あのね、きょうね…』 程なく電話は冬葉に変わり、電話の向こうで冬葉は、平塚家の玄関先で作った小さな雪だるまの話を一生懸命してくれた。 そうか… 大雪の日に僕は気付く。 葉祐と出逢わなければ… 子供達とも出逢えなかった。 彼らの未来もなかったんだ。 僕は葉祐と出逢って良かったんだ! 大雪の日に僕は誓う。 信じよう…葉祐を、子供達を。 深く愛そう…葉祐を、子供達を。 僕に出来ることは…それだけなのだから… 2018.2.5〜6 ********************

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