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第101話 玄夜の宴 -5-
強請る声と動きを繰り返して、ビャクリは快楽に"ひんひん"と泣き始めた。それでも俺は彼を逃がさない様に腰を掴み、グチグチとした重いストロークをビャクリの中に押し通し続けた。
そして幾度目かの攻めに、ビャクリは達しそうだと俺に告げてきた。
「……で、出るッ……! アサヒ……が、まん、出来ない……!」
「ん、良いぜ……ビャクリ、出せよ……」
「ぅン、ンあ、あ、ぁ……!! ん……!! ぃあ……ッ!」
低めな四つん這いのまま、身体を反らせてビャクリは自ら扱き上げて精を敷かれたシーツに付けたまま解き放った。飛び出した白濁がジワリジワリとシーツに染み作り広がっている。プルプルビクビクと身体を細やかに痙攣させ、ビャクリは俺の前で吐精をしている。
「……ぅあ、ああ……ぁ……! ぁ……ッ……!」
「出た?」
「で、でひゃ……ぁ……」
「そうか。気持ち良かった?」
「良かったぁ……」
放ち終わったばかりの先端の穴へ、指先を伸ばしてそこを撫でるように擦ると、ドロリとした残滓が溢れてきた。ヒクヒクと俺の指先から逃れたがるペニスを、俺は逃すつもりは無いのでビャクリの静止の声がきても柔く触り続けた。その撫でる動きに合わせて、ビャクリが荒い嬌声を上げ続ける。そうそう、その声と逃げる様な動きで俺をたくさん煽ってくれよ、ビャクリ。
「じゃ、俺もそろそろ」
「ん、アサヒ……俺でイッて……中、出していいからぁ……俺に"精"を頂戴……!」
「……俺の"精"を食べるのか?」
「そうだよ……でも、俺は好みがうるさいんだ……。言ってる意味、分かる、な?」
「分かるよ。……いっぱい食わしてやるよ」
そう、分かる。俺もある意味"同じ"だからな。こうしてながら、ビャクリの精を頂いているのだ。
「こっち、向いて」
「ん、あ!」
俺は体位を今度は正面にして、ビャクリに再び穿ち始めた。
ビャクリの熱い内側を擦り自身を昂らせていく。
熱く滑り、具合の良いビャクリの内壁は俺を上手く昂らせてくれ、陰嚢が上がる感覚に吐き出す瞬間が近いと感じてきた。
「ひゃ、あ、アサヒ……、いっぱい……いっぱい……俺に……?」
「ああ、そうだ。食わせて、やるからな」
「ん、んッ! たの、しみ……」
「ははッ……可愛いな、ビャクリ……んッ……で、でる……! ッ……」
―びゅぐッ……びゅぐぐうぐぐぐううううぐぐぅ!!!
「あ、溢れ……あふれでちゃう……!」
「はぁ……ッ、んくッ……! く……ぅ……」
一度に俺から解き放たれた精液は彼の奥へと落ちていったが、落ちていく以上の勢いに隙間から外へと流れ出した。
そして、俺の抽挿はグチグチと緩く続いていくので、かき出されたものがビャクリの外側の肌を濡らした。
そんなコプコプとビャクリの内側から溢れ出る俺の精を、ビャクリは指で幾度か掬い取って口内に含み笑みを見せてきた。
「アサヒ、美味しい……」
「そうか……なら、もっとやるよ」
「もっとくれるのか?」
「……欲しいか?」
「欲しい……!」
そう言うと、ビャクリは俺に抱き付くように腕を伸ばし、腰を浮かせて強請ってきたのである。
……全く可愛いモンだ。
そして俺は再びビャクリに穿つ動作を始めたのである。
「……ここを、離れる……もっと、西の方に行こうと思う」
「……ああ、そうだな、それが良いかもな」
確かに……あんな事があったこの場所に留まらない方が良いのかも知れない。
―……俺達は幾度かの情交を止め、今は布団に大人しく並んで収まっている。
ま、この場所には朝までは居ないがな……シュトールが起きる前に彼の隣に帰らなければならないからだ……。
「……西に種族は違うが、古くから交流がある者が居るから、そこに行こうと思う。実はすでに使いの者を向わせた」
「……そっかぁ……」
「アサヒ、これをやろう……元は俺の"武器"だ」
そう言いながら、ビャクリは俺の掌に小指程の長さの細工された"針" がトップとして存在しているペンダントを握らせた。
「じゃ、俺はこれ……」
俺は無造作に前髪を後ろで結わえている、髪留めに使っていた紐を解いた。髪が解かれて前髪が所定の位置に落ちてきたのを、適当に流す。まぁ、周りが見えれば良いかなと思う。
そしてその解いた紐で、今度は適当にビャクリの左横の髪を小さく束ねた。
―……物々交換、か……。何となく、これは男の友情……だな! ……え? 違う?
「何つぅか……可愛いかな、その姿は」
「何だと……」
俺は結わえたビャクリの髪の束の毛先を、指先で散らす様に絡め揺らして遊んだ。
髪を揺らすとビャクリの左の白い獣の耳がピクピクして、俺はそれにも同じ感想が浮かんだ。
「……また、会えるかな?」
「かもな」
「……そんな寂しい言い方スンなよ……、ビャクリ」
「アサヒ……ん……」
「……ビャクリ……」
そろそろ外が明るくなる……玄い夜の宴は―……終わりだ。
そう思い、俺は最後にと再びビャクリの唇を塞いだ。
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