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第128話 睡下の蛇達 -1-

屋敷のとある一室で渋い顔に腕組をした男が、立っている彼とは対象に座ってる濃い茶髪で釣り目がちな赤茶猫目な華奢な男に話し掛けてた。 渋い表情の男は"シャア・スゥ"。赤茶猫目の男は"ケイ"であった。 「―……お前の脚に傷を付けた奴が、アルの仕事をこなす……。複雑……いや、気に食わない。しかも、食事の席にお前をとアルが言ってきた」 「んッ、スゥ……もう俺の傷は大分癒えてるよ。確かにアイツには頭にキてるけど……煙を施してくれれば、俺は"仕事"で接客くらい……」 そう言ってスゥはケイの隣りに座り、深い傷があったと思しき場所をゆっくりと撫でた。ゆっくりと愛おしそうに服の上から太股を撫でる。 「俺が、イやなんだ。ケイ、ケイ……」 「スゥ」 「お前の全ては、俺の物だよな?」 少し屈んでケイより視線を低くし、上目で覗くように窺うスゥ。 いつもの強気な雰囲気の彼から、少し零れた脆い部分にケイは口角を緩く上げながら答えた。そして目が自然と一筆の弧を描く。 「…………ぅん、スゥのだよ」 そしてケイの答えに満足したスゥは上体を戻し、今度は上からケイに話し掛けた。 「……ケイ、お前が誰の腕に絡もうが、最後は俺の元に帰ってきてくれるなら……それで……良いよ」 「スゥ……」 そう言って、スゥはケイを引き寄せて腕に閉じ込め、ゆっくりと頭を撫でた。 どの位だろうか……数分間お互い無言の時を共有し、スゥは残念そうに口を開いた。 「さぁ、そろそろ"パオパオパオ"に行く準備をした方が良いな。……アルが待ってる」 「……………………」 ケイはそのスゥの言葉に瞳を閉じ、先程スゥが口にした言葉を反芻した。 パオパオパオで誰の腕に寄り掛かろうが、最後はスゥの腕に戻ってくれば良い。 パオパオパオで誰かの腕に手を置くのは仕事。でも、今のスゥの腕に手を置く行為は自分が望んでしている事。 ―……だってスゥが好きだから。俺がこうして休む場所はスゥの下。 ケイはそう思いを強くして、自身を抱いているスゥの腕に手を置いた。 「今回も煙を……煙を使って、スゥ。俺の記憶を閉じてくれ。そうすれば……表の俺が頑張れる」 「分かった。……お前の煙が晴れた時、俺は"パオパオパオのオーナー・シャア・スゥ"だ。こうしてお前と共にいる"シャア・スゥ"じゃない」 「うん、スゥ……。分かった……」 「……ケイ……本当は、お前を……このままに……」 「スゥ……」 ―ちゅ……ちゅ、ちゅ…… 「…………でも。スゥ、どんな俺でも、俺なら好いてくれる?」 「それは大丈夫だ。俺はあらゆる面でお前が良いと思っている。"表"、も、お前も同じだ」 スゥの言葉と瞳の色にケイは頷くと、彼の頬に擦り寄った。 スリスリと無言で甘えられながら、スゥはケイに言葉を掛ける。 「ケイ、さぁ煙を……」 「…………"煙"の前に、俺……スゥとしたい……。触って……」 身体を密着させる様に抱き着き、頬を寄せ耳元で囁いてケイはスゥに触れて欲しいと強請った。 「……しょうがない奴だな。まぁ……、ここをこんなにしながら接客もないな」 「ん……」 ケイの誘いの甘言にスゥはケイの服を解き脱がせ、口とは別にスゥに"おねだり"をしていたモノを外気に招いた。 ―……ふるん……ぴくぴくん! 現れたのはケイの勃起し始めたペニスで、先端部はくしゅりとした皮がまだ被っていたが内部から透明な液を僅かに滲み出してテラテラと潤わせ、光にしっとりと肌が反射していた。 「相変わらず皮被りの愛らしいペニスだな。反応している割にはまだ篭っているのか。やっぱり子供みたいだなぁ」 「そ、そんな、事無い……! ぉ、俺のだって……もう大人のだし……その……えっと……おっきく、なれば……」 「そうか? ……じゃぁ、今回も大人かどうか見てみようか」 ゆっくりとしたストロークでニュルリヌルリと余り皮で扱かれ、中の熱を持った芯を露にされていく。 ―きちゅッ……くちゅん、くちゅ……くちゅ……くちゅ……くちゅ……ぷちゅちゅちゅ…… 「ぁ、あ、スゥ……先っぽ出ちゃう……。ぉ、おれのぉ……み、見たい?」 「ケイのは普段"奥まってる"からな。見たいよ。ほら、剥けてきた。もうちょっと下げたら……亀頭が全部出ちゃうな」 「ん……スゥが見たいなら……良いよ……ぉ? スゥに見られ、て、俺ッ……んぁぅう!! んぁ! ……きゅ、急にさげッ……!?」 ―むきゅン!! ……むわわ……ぁ…… 「……ほぉ? お前のヤラシイ液で中が満たされていたから剥き易いうえに、剥いた事で蒸れたにおいが溢れ出したか」 「え!? ゃ、やだ……! ダメ、ダメだよ……。ぉ、おれのぉ、そんなにおい、かがッ……ないで……ぇ、スゥ……!」 "煙使い"という特殊なスキルから匂いには敏感なスゥは、わざと"スンスン"とケイの前で鼻を鳴らしてニヤリを笑った。 スゥに言われたケイは涙声で、手で出来る限り自身の剥かれたての紅く潤っているペニスを隠した。 「手で隠しても無駄だ、ケイ。手をどけろ」 「でも、やだ……」 「俺は見ても良いんだろ? ん?」 「言ったけど、やっぱやだ!」 言いながらケイは、潤んだ釣り目がちな瞳でスゥを睨んだ。 一方、そんな睨みを"可愛い"と脳内で一蹴して、スゥは座っているケイの脚の間に座り、その隠されたペニスを覆う手に舌を伸ばした。 「なら、こうしてしまえばにおいも無くなる……」 「ッ! く! ひ、ひぁ!! なめ……舐めて……!?」 スゥはケイのペニスの根元から上へと、裏筋を伝いながら舌をソロソロと上昇させ始めた。滑り光る筋が下から上へと出来あがる。 そして舌がケイの手に当たると、彼の強情な手を退ける様に舐め、指の隙間に舌先を捻じ込ませようとした。 「ああ、そうだ。舐め取ってやるよ……。ほら、先端を覆う手をどけて……」 「だめ、だめ! それはもっとダメぇ……ッあ!?」 先端を押さえている両手をスゥに掴まれ、左右に力強く開かれれば、ケイのペニスはアッサリと彼の前に紅く膨れた先端を晒されてしまった。 突然の事に、ヒクンヒクンとケイのペニスはスゥの前で跳ね踊り、新たな液体をコポコポと溢れさせた。 「……ぁ、あ、ぁ、あ、ああ……ぁ……」 「お前のこの蒸れた匂いはイヤラシく甘美な物だよ、ケイ」 「んッ……!」 そう言うと、スゥはケイのペニスに鼻先を付け、濡れそぼる先端の表面を鼻で這い回った。 ヌチヌチとした粘つく水音が触れた先から奏でられ、ケイは耳を覆いたくなったが、生憎両手はスゥに握られたままだった。 鼻で撫でる度にビクビクと身体を敏感に震わせ、荒く艶やかな声がケイから上がる。「かがないで」と懇願の涙声を上げ、そのくせ腰はスゥへと捧げるようにグングンと大胆に突き出してくるのだ。 そんなケイの痴態に、スゥは目を細め舌を出して熱く蕩けている先端を軽くフニと押した。 「……ああ、そうだ。舐めてケイのこのヤラシイ匂いを俺が取ってやるんだったな。これから接待の仕事、だもんな?」 「んひゃ、ひゃ!?? ぁ! あ! あ……! ぅ、くッ……ッ!!」 「ここは特に強いから、念入りに舐めてやるか。くくッ……」 「ひ! ぁ、あ!!! そこ、ぐりぐりッ……!? し、したぁ……した、舌が……! ぁっうぃ……ぃい……」 ペロペロと弾く様に先端のカリの始点を舐められ、ケイの張り詰めたペニスは"ピュ"と先走りを吐き出した。 「それに、今から客の前に行くのだろぅ? 俺がここでチェックしてやるよ」 「そんな……鼻、そこに擦り付けないでぇ……! スゥ……! スゥうぅう……!!」 「ふふ……今の吐き出しでにおいが濃くなったぞ、ケイ。じゃ、俺が舐めて薄くしてやるか」 ―ぺちゅ、ぺちゅ……。ぺちゅ……ちろッちろッ……ちろッ!ちゅうちゅう…… 「うぁ! あッ! あー!! もっと出ちゃうよぉ! ダメ、濃くなっひゃうぅ!」 「なら出せ。……大丈夫だから。俺に出してるところを見せてくれ」 「~~~ぅ、うん、分かった……。だ、出す……。ぁ……あ、スゥ、スゥ……でひゃ……! ひゃうう……。……んぁ、あ。……ぁ、く、ぁ、……あ、あー!」 ―びゅうううう!! びちゃ! びちゃびちゃ!!! びちゃぁ! 潤んだ瞳を閉じ、ケイはスゥの見守る中、紅く張り詰めた先端から白濁を迸らせた。 白濁は緩やかな弧線を描き、床の上に次々と着地していく。 そしてだらしなく射精しているところを、大好きなスゥに凝視されている。スゥの望んだ形で、自分が痴態を晒している事に、ケイの中で新たな疼きが生まれた。 震えは歓喜であり、羞恥心に煽られてとてももどかしく感じた。

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