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第149話 発進!カタツムリ商隊! -2-

―……そしてディルの案内で連れて行かれた先で、俺は思わず興奮のあまり叫んでしまった……。 「……ぅッお! すげ……!?」 何だこれ、何だこれー!! カタツムリの行列みたいだな!! もしくは何?丸いコンテナが繋がっている様は、どこか貨物列車を連想させるな。 そう。ディルに連れてかれた先には、丸コンテナの行列が……。 俺はトタトタとコンテナの一つに近づき、その表面に触れてみた。 材質は何だろう? 良く分からないけど、硬質でヒンヤリとしている。そしてスベスベだ。 「あ、アサヒくん、おはよ!」 興味で惹かれるままにコンテナを触っていたら、脇からヒョッコリとエメルが現れ、俺に挨拶をくれた。 そして俺の元に近づいて来て、"タシタシ"とカタツムリみたいな箱を軽く叩きながら得意気な笑みを作ってきた。 「アサヒくんはこれに興味津々?」 「うん、興味津々」 「そっか。……これはハスマヒナの知り合いの魔工技師に頼んで作ってもらった特注の運搬倉庫なんだよ。コイツは自分で浮いて、その動力は、何と"魔力石"なのだ!」 「え? このカタツムリみたいなの浮くの?」 「浮くよ。馬とか車輪とか無いだろ? 代わりに魔力で動く仕組みになってるんだ。まぁ、まだ出発しないから動力紐に魔力を通してないけど」 「へえ?」 「それに暗い所だと勝手に先端から管が伸びてきて、光魔法のライトがかかるから便利なんだよ」 「ほお……?」 それって、カタツムリの目……的なイメージ? 俺がエメルの説明から、その管が伸び出たところを想像してた時、意外な人物がエメルに声を掛けて来たんだ。 「エメルおはよう持ってきたぞ」 「あ。リリサちゃん! おっはよーぅ」 「出発まで間に合ったみたいだな良かった。それじゃエメル頼んだぞ」 「うん、任せて、リリサちゃん」 突然現れたリリサ先生に呆気にとられていたら、先生から「おはようアサヒ」と言われてしまった……。 「おはよ、先生……。リリサ先生は何でここに? もしかして、俺達と一緒に?」 俺はそう言いながら、リリサ先生が引いて来た荷物を見た。何だろう? リリサ先生は俺の視線の先を察して、説明を始めてくれた。 「一緒には行かないよ。だけどここに来た理由は私が作ってる魔法符を拡大しようと思ってとりあえずエメルに頼んでシーフィールムのギルドに卸す事にしたんだ」 「そうなんだ。だから、こうしてリリサちゃんから魔法符を僕が買って、向こうのギルドに売る事にしたんだよ。ま、まだお試し的な色が濃いけどね」 「そっかぁ……」 リリサ先生の魔法符が浸透していけば結構便利な世の中になるかもしれない。 俺としても使える範囲が拡大していくのは大歓迎だよ! 「ところでエメルとリリサ先生は……えっと、んと……? 知り合い、なんだ?」 「ん? ああ、リリサちゃんと僕は王立魔法学校の同期なんだよ。ディルも含めて、僕達は学友だったのさッ!」 そしてエメルは親指を立てて、何故か爽やかスマイルを俺に決めてきた。一方、リリサ先生は相変わらずの無表情……だが、エメルの態度を不快には思っていない様で、その姿のまま立っている状態だ。 それにしても、マジか? なら、二人は同い年……??? ……あ。でもさ、よくよく考えたら実際の年齢ってあまり知らないや。リリサ先生って呼んでいるのも、レンネルがそう呼んでいたから俺もそれに習っていただけだしな。 そうか~。リリサ先生とエメルが同級生かー。リリサ先生、見た目にちょっとロリ入ってるから、実は俺より若く見てたんだけどな。ほら、飛び級とかさ、してそうかなってさ? まぁ、年齢確認はいないけど。 「まぁ、僕とリリサちゃんは魔法学術コースでディルは魔法武術コースの違いはあるけどね」 なるほど?内部で学問系統と運動系統にニ分割されているのか。 そうしてリリサ先生は用が済んだからと、サッサと帰って行ってしまった……。うーん、アッサリしているトコロがリリサ先生っぽいな。 俺がリリサ先生の小さくなる後姿を何となく見送っていると、エメルが「集合ー!」と声上げてきた。 そこで俺は先生の姿からエメルへと視線を移して、彼の元にみんなと同じく集まった。

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