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第170話 月に愛でられる者 -7-
本物の神様の指先が、俺のアナルから内側を愛でてくれている……。
嘘の様な本当に、俺は自分で望んでおきながら俺は妙な背徳感と満足感が混ざった感情にペニスの硬度が増すのを感じた。
そしてカーちゃんは指を二本に増やし、俺の内側を掻き回し始めた。強まった刺激に俺は、「んひ……!」と変な声を上げてそれを受け入れた。
カーちゃんの指で解かされて柔く感度が増していくアナルに俺はある種の恍惚状態で善がり、カーちゃんの耳元で何度も弱く震える声を上げ続けた。
「アサヒ、気持ち良いですか?」
「カーちゃん、カーちゃん……きもちイイよっ。俺……の全部がカーちゃんのに悦んでるよぉ」
やがてペニスをビタンビタンと自分とカーちゃんの腹部を行き来させながら、俺は勝手に腰を揺らして快楽を貪り始めた。
腰を揺らす度にアナルはカーちゃんの指の出し入れが起こり、ペニスのカリ裏はカーちゃんの服に擦られ、俺は両方の刺激に荒い呼吸を繰り返して、吐き出しが近いのを感じた。
「……っ、かーちゃ、イきそっ……。ちか、い……」
「アサヒ……分かりました。今日はこのまま精を放っても良いですよ」
「んっ……、ん、カーひゃ、ぁん……。はぁ……っ、はあ……はぁ……」
「……アサヒ……、イきなさい?」
―ぐっ……ぷぅ!! ぐにっ! ぐにぃいっ!
俺の言葉にカーちゃんの指がより深く俺の中に挿し入れられ、ある部分を内側から"ぐにぃ、ぐにぃ"と強く数回押し上げられた瞬間、目の前に星が盛大に散らばった。
「~~~!? カァ……ちゃ……! でひゃ……ぅ……。カーちゃんの指で、俺、イッちゃあぅ……ううっ!! アナルもペニスも、気持ち良くて……! とけっ……ひゃぅ……ぅううっ! く、ぁ、あ、あああっ……」
―ぶびゅ! ぶびゅッ! ……ぶびゅびゅびゅびゅ! びゅー! びゅー! ぶびゅー!
そして俺はカーちゃんにアナルに指を二本挿し込まれた状態で、ペニスから精を迸らせた。
……大好きなカーちゃんの指を離さない様に咥えて、ビクンビクンとペニスを律動させて、俺はイったんだ。
それから、しばらくしてチカチカした絶頂の余韻が引き、俺は吐精後の状況に今更ながら焦ってきた。だってさ……
「……カーちゃん……ごめん。俺ので服が……汚れちまった……な……」
「大丈夫ですよ、アサヒ。汚くありません。それに私の行為でこんなに善がり興奮してくれて、私は嬉しいです」
カーちゃんの上等であろう服にぶちまけた、俺の欲望の塊……。カーちゃんはそう言ってくれるけど、やっぱり後ろめたい……。
「……どうしよう……」
「大丈夫ですよ、ほら」
カーちゃんは俺に笑顔を一つ寄越すと、"パチリ"と指を鳴らした。
おおぉう!流石カーちゃん! 世界の三大三神!
「―……ではアサヒ、宿近くまで連れて行って上げましょう」
そう言うとカーちゃんはまた俺を浮かせ、本当に宿近くまで連れて行ってくれた。
宿の一階部分の軽食処から煌々と漏れてるオレンジの温かみのある明かりと、大勢の陽気な声。
一方、カーちゃんは冷え冷えとした淡い月明かりの中、俺の手を柔らかく微笑んだまま握っていてくれている。
もう少し、このままで……。
ここまで来て離れがたい……って、カーちゃんも思っていてくれると……俺は嬉しい。
神様相手に、それこそ贅沢なお願いと妄想をする俺。でも、これは俺の自由だろ?
でも、こうして手を握り合っているのは現実なわけで……。
俺は「またね」と軽く口にして、宿に帰るのを躊躇っているのだろうか?
人としての、「惜しい」という感情が渦巻いているのか? ぐるぐる、ぐるぐると……。
―くんっ……
「……アサヒ……。ん……、んん……」
「ぇ……?ン、んぅ……ん……」
急に手を引かれたかと思ったら、カーちゃんに口付けをされていた。
前方には月を背負ったカーちゃん、後方からは陽気に賑わう声。
カーちゃん自体は少し冷たい……だから、唇の隙間からの息の熱に俺はゾクゾクしてくる。
そして、隙間を割って入り込んできた舌の熱に……焦がされる。
舌で求められて、俺も同じくカーちゃんを求め返す。全身が歓喜に震えるなかで、変なもどかしさに倒れそうだ。
それから長いか短いか分からない時間感覚を経て、俺とカーちゃんは唇を離した。
銀糸が俺達を最初繋いでいたが、それも無くなり、カーちゃんは瞳を三日月の弧にすると俺から離れた。
後方に一歩、二歩……と俺から離れ、お互いの手の届かない距離でカーちゃんは浮き始めた。
……帰るんだ……。
「―……アサヒ……、藻を集めるの頑張って下さいね。では、また……」
「ぅん、カーちゃん……。俺、頑張る! ……また……会える?」
「ええ、また会いましょうね、アサヒ」
去り際のカーちゃんの言葉に、俺は笑って答えた。
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