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第14話 可愛いガイドさんを捕獲しましたァ!
「じゃ、俺、馬の世話があるんで失礼しますね。ご馳走様でした」
「おー、またなぁーハウリュ……」
「またな、ハウル」
そう言うとハウルはテーブルを後にした。
俺達がメシ食っている時に、ハウルがこの店に来たから誘って一緒にメシを食ったんだ!
人がいっぱい居た方が楽しいしな!
そんな事を考えながら俺は酒を飲む。この酒、甘くて美味いんだ……。
「んンぅ……?」
「アサヒ、飲みすぎじゃないか?」
少しルツの声が遠く感じる……。
……俺は元スライムだから、液体の吸収が早いんだよ……。……多分……。
「……よってにゃい……少しクリャクリャ、するだけ……」
「それを、酔ってる、って言うんだよ……」
「……………………」(じー……)
「? 何だ? アサヒ?」
……こう、さっきからルツの魔力に引き寄せられるんだよね。
魔力=精液、でもあるから、思い出しちゃうんだよね、味をさ! ああー!
「あぅ~~~……」
「イテ! 噛み付くな! 何だ、急に!」
ああーだって、ルツに噛み付きたく……。
でも、ここでするのは普通にマズイだろ?
だからさ……
「るつぅ……るつにいっぱい噛み付きたい……」
「ア、アサヒ???」
パコポコ!!
「……アンタ等、いちゃつくなら部屋行ってしな……!」
「ラ、ライラさん!?」
「子供の教育上、悪いッ!」
そう言ってライラさんは再びポコポコとメニュー表で俺達に頭を軽く叩いて来た。
まぁ、確かにそうだな。
そこで俺達は店から出たんだ。
俺はルツに手を引かれて、そのままルツの部屋について行った。
「……ったく、噛み後だらけだ……」
「あー……本当だ……ごめん、ルツ……。んでもルツって、……美味しそうだからさ……」
「はぁ!?何だ、それは……」
「ごめんごめん、今治す……」
「治す!?」
ぺろ……
「……い!?」
あー……また能力が目覚めたか、俺……。
ああ、でも俺が舐めた後は噛み跡が綺麗に消えていっている……。良かった良かった。
しかも舐めても魔力が入ってくる……みたいだ。
……じゃぁ、痛くない方が良いよね?
「ん、ルツ、甘い……うまい……」
「んな……! ちょ……あ……?」
「ん、あ……」
「アサ、ヒ……そこは噛んでない……だろ!?」
「んぅ……だって……舐めたい……」
「え? ぅ……あ……!?」
ピチャピチャとルツの胸と腹に舌を這わせながら、俺自身が高まってきているのを感じ始めた。
そしてルツの胸の高まりを舌でなぞれば、ルツはその行為を繰り返す度に荒めな息遣いの中に、甘い声を混ぜてくる。
俺の頭に手を置いて、ルツは俺の行為を受け入れてくれてる……。
……あーでもごめん、ルツ……すげぇ眠い……眠い……んだ……
「……ルチュ……ごめんね……おれ、すげぇにゃむい……も、むり……」
「……は!?」
そして俺は意識を手放したんだ……。
―……一方、中途半端に残されたルツはと言うと……
「何なんだよ……」
俺の腹の上で突然寝出したアサヒをずらして、俺の横に寝かす。
本当に、色々突然な奴だな、コイツは……。
……はぁ、しかも無防備に寝やがって……。
俺はアサヒの頬に手を置いて、何となく撫でてみる。
……アサヒの体温、って低いんだよな……。むしろ低すぎる感じがする。
胸が上下に規則正しく動いているから、大丈夫だと思うんだけど……。
瞳も今まで見た事が無い虹彩だ……。
分からない事だらけだけど、コイツは確かに存在しているんだよな……。
しっかし、妙なところで寝落ちしやがって……。はぁ……。
とりあえず備え付けの寝巻きにアサヒを着替えさせて、俺は風呂に行くか。
……何かアサヒってほっとけないんだよなぁ……。
「……ふあ……確かにねみいな……」
そんな事をぼやきながらルツはベッドから降り、とりあえず寝巻きを取り出したのだった。
「起きろ、アサヒ。朝だぞ……おーきーろー!」
……あれ? ルツの声が凄く近く感じる……?
「……ふがッ!? ……えッ……ここは?!」
「……俺の部屋のベッドだ……」
ルツは俺の鼻を摘みながら、現在地を教えてくれた。
……あー、俺、寝落ちしたんだった!
すげーな、人には三大欲ってのがあるらしいけど……ちなみに「食欲・性欲・睡眠欲」……だったかな?
どれも俺は抗えなかったぜ! コンプしたな、これは!
俺はルツのベットを占領しながら一人頷いた。
「ほら、とりあえず起きろ」
「分かった! ルツ、ありがとな!」
その後、俺はとりあえず自分にあてがわれた部屋に行き、風呂に入った……と言ってもシャワーだけど。
まさかのシャワーですよ! 何だか魔法と組み合わさっているみたいだけど、少し感動した。
しかもここは上下水が発達しているみたいだ。すげぇなー。
風呂の後はルツと二人で朝飯を食った。
そしてメシ屋の"熊の左手"を出ながら、ルツが自分の今日の予定を言ってきた。
「アサヒ、俺は今日これからギルドに行ってトロールの処理とかをするけど、お前はどうする?」
「俺? ……そうだなぁ……適当に王都を見て回るよ」
「そうか、分かった。……色々気を付けろよ?」
「うん」
俺はそのままルツと別れて外に出た。よーし、色々見て回るぞー! 金はすでに持ってきてるぜ!
とりあえず俺は昨日見た市場を見に行く事にした。
あんな洞窟に長い事いたから、少し方向感覚には自信があるんだ。
人ごみの中をプラプラ歩いていると、やがて俺の目に市場が見えてきた。
そこは俺が昨日見たまま、活気に溢れていた。うん、良いね。
種族も色々居るみたいだな……。多くは人間だけど、獣人とかもチラチラ見かける……。
店も多種多様で、ただ単に見ているだけでも一向に飽きない。
地域的にも、色んな所から来ている品物はどれも俺の興味を惹く。
とにかく、すごい情報量だ!
そして回りを見ながら歩いていた俺は、良いカモに見えたんだろうな……。
「……ちょっと待てよ」
俺は今すれ違った猫耳の少年の腕を掴んだ。
「……ッ!」
明らかに表情が強張っている……。
あーあー、早速これ? スリ? ねぇ、スリなの?
まぁ、俺は物珍しさに辺りをキョロキョロしていて注意力散漫に見えたんだろうけど、チート能力が発動したと思われ。
俺の方が能力が上だった、って事だな。諦めろ。
「来いよ」
「は、放せよ……」
「良いから……」
俺から逃げようとする少年の腕を取り、俺はその場から離れ、少し人気が無い路地に入った。
途中何度か逃げようとしてきたけど、俺の手が振り解けないと分かるとそのまま付いてきた。
うんうん、それで良いんだよ。
「さて……」
「……!」
俺が立ち止まって振り返ると、少年は僅かに肩を揺らした。
「俺はアサヒ。お前の名前は?」
「は?」
「名前だよ、名前」
「……レンネル」
「レンネル、今日暇か?」
「……え? ……ぁ、暇……だよ???」
「そうかー、なら、今日一日俺のガイドとして、王都内を色々連れてってくれねぇかな?」
「え!?」
「後払いでバイト代は出すからさ……これで足りるかな?」
俺はガイド料として、金貨を二枚取り出した。
するとレンネルは驚いた顔をして俺を凝視してきた。え? 何か変?
「足りない?」
「……あ、あんたは物の価値が分からなさ過ぎる!」
何だか怒られてしまった……。
そりゃぁ……うん、価値がいまいち分からない。
「アサヒは金持ちなのか?」
「……いや? 新米冒険者だけど……昨日ギルド登録した……」
まさか、"元スライム"とは言えない……。
「で、どうだ?」
「……いいよ、今日はアサヒに付き合うよ」
「よし! んじゃ、行くか! レンネル、武器屋連れてってくれよ!」
そして俺はレンネルの手をそのまま引いた。
俺の力に合わせてレンネルが一踏み出してくる。
そして慌てた風にレンネルは俺から手を引き抜こうとしてきた。
「ちょ、何で手繋いだままなんだよ!?」
「え……だってはぐれたら俺、道わかんねーし……ここすら適当に来た」
「えええええ!? なんつう無計画さ!」
「だから、レンネル頼むよ」
「はぁ、分かったよ……まずは"武器屋"だな?」
溜息をつきつつも、レンネルは手をそのままに歩き出したんだ。
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