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第30話 赤い炎と二つの黒き影の来訪 -4-

森の木々にたまに身体を寄せ、休み休みながらも俺は前へ……とりあえず市街と感じる方へ歩いていた。 「はぁ~……はぁはぁ……」 ……しっかし、お、俺の媚薬に対する中和機能が追いつかない……!? スライムの特性をフルで機能させても、あのメルリーナ特製の媚薬は強力だということか……。 なんて強力な錯淫効果がある液体なんだ……! スライムの媚薬半端ねぇ!!! しかも大量にで更に他のも混ぜてる、ってどんだけ強化してんだよ! だ、誰か……。 ……誰かと、やる、しかないのか……? 「……はぁ~……はぁはぁ……こ、ここは……?」 そんな事を考えながら歩いていたら、いつの間にか森を抜け少し舗装された道に出た。 ……ここは王都の城壁の内のはずだから、とりあえず民家が近くにあるのかも……。 な、なら夜は一応明けてきているし、人もいそうだけど……俺のこの状況……の事を考えると……。 …………はぁ、人が居たとしても……どうすんだよ……。 俺はどうしようもない気持ちでいっぱいになり、その場に座り込んだ。 ……正直動きたくなくなってきた……。 ―……パカ……パカパカ…… ……ひずめの音……? ……馬か……って事は、人が乗っている可能性が高い訳だけど……。 当然だが俺が居る事を知らないその人物は、ひずめを軽快に鳴らして俺の方へと向かってきている様だ。 これはチャンスなのかそうでないのか……。とりあえずどんな人物か見るか……。 「……うそ……だろ……?」 そんな俺の目に飛び込んできたのは朝靄の中、馬にマントをはためかせて騎乗しているハウルの姿だった。 今は鎧は着ていなく、服の上にマント、といった軽装だ。 ……何でこんな時間にハウルが? いや、今はそこを考えている場合じゃない……! 「……ッ、……~~…………~は、うる……ッ!! ハウル!!!」 「……アサヒさん!?」 俺のやっと搾り出した声に、ハウルが直ぐに気が付いてくれた! 俺はハウルが近づいて来てくれるのを感じながら、地面に突っ伏した。 何とも言えない熱い苦しさに涙が出てくる……。 息は荒いし、動けないしで俺は拳を地面に叩きつけたくなる衝動に駆られた。 そしてそんな俺の元に方膝をつき、ハウルが話しかけてきてくれた。 「どうしたんですか、こんなに泥をつけて……」 「ハウル、たす、助けて……」 近づいて、俺の身体を支えてくれたハウルに涙目だが何とか見上げながら俺は訴えた。 俺のその態に一瞬息を呑んだハウルだったが、直ぐに顔を元に戻して聞いてきた。 ……ハウルは基本真面目なんだよな……。 「……~はぁ……はぁ、……はぁ~……ぁ……」 「ど、どうすれば良いんですか? アサヒさん?」 俺の荒い息を繰り返す姿に動揺したのか、ハウルの声が僅かに上ずった。 い、言うしかない……ここはハウルに……お願いするしか……。 「は、はうる……!」 「はい、何ですか?」 しがみ付く様にハウルの袖を引っ張ると、ハウルは俺に優しく聞いてきてくれた。 「お、俺と……して……!」 「……はい? 良くきこえな……」 「俺と、今すぐエロいことしてくれ、って言ったんだよ……!!」 「……え!? えええええ!!!?」 ……ハウルの驚きはすごくまともだ。そりゃそうだよな?……俺でも驚くよ……。 「……ストレートに言った方が分かりやすいだろ……!」 「な、なん、で……」 「ちょっと訳ありで……媚薬……媚薬大量に盛られて……お、俺……もう……」 俺のそんな内容にハウルはワタワタしながらとりあえず聞いてくれている……。 俺はもう、別な意味でも涙目だ。 …………ハウル……。 ……まぁ……突然だし、ハウルの動揺も分る……。無理し過ぎだな……。 「……ぉ、俺とじゃ、嫌……? ……嫌なら……諦めて他行くから……ッ……。ってか、急過ぎだよな……わりぃな、ハウル……俺、行くわ……」 「……い、嫌じゃないです!! 嫌じゃないですから、他に行かなくて良いです……!!」 そう言ってハウルは俺を優しく抱きしめてくれたけど、俺はそんなハウルの腕の中で身体をビクつかせた。 こ、これは……危険だ……。 頭に中が再び濃く霞んでいく……。 「ンぅ……う……ハウル、ハウル……じゃ、じゃぁ……早く、早くしよう……?」 「ア、アサヒさん……」 そして俺はハウルにしがみ付いた。俺より筋肉質だ……。 ……でも、こうしているだけでも口角から涎が出るのを押さえられそうにないんだ……、ハウル……。

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