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第48話 疑問と沈黙 -4-

「おはよー、ルツ!」 「……は? あれ? 俺……???」 覚醒したルツは最後の記憶から、突然の朝の光と俺の声に自身が着いて来れない様で呆然としていた。 そりゃ、そうかもな。夜から急に朝だもんなぁ。 「……まったく……風呂の入り直しだ、馬鹿ッ! しかも、もう朝かよ!?」 「うん、ルツのおかげでゆっくり寝れたよ~」 ルツの言うとおり、窓からはカーテン越しに明るい光が感じられし、鳥の鳴き声も聞こえてきた。 俺はベットから窓へと近づき、鳥のさえずりに誘われるかの様にカーテンを開けた。 ―……朝だー。小鳥さん、おっはよう!! 「ああッ……爽やかだなァ……」 「アホか! 窓を開けるなら、服を着ろ!」 「下着ははいてるからだいじょーぶ!」 ルツの声に振り向きながら答える。 そういうところはは大事だよな! ちゃんと弁えてるぜ! どーよ! ルツはそんな俺の元気いっぱいの回答に頭を抱えている。え?何で? おっと! そんな事を気にしている場合じゃない! 俺には今は目的があるんだ! 「なールツ、俺と名前交換してくれよー!」 「……名前……ああ、あれか。良いぜ」 「やった。ありがとなー」 俺の突然の言い出しにもルツは普通に了承してくれた。 ルツって普段は落ち着いてて余裕あるよなぁ。俺より年上だからそう感じるのかな? ああー、それにしてもルツは字体綺麗だなー。俺もこんな大人な字体にしたい。 「……な、ルツは俺の事……」 「アサヒ?」 「……何でもない……」 ―……言葉が繋げられなかった……。 "どう思ってる?" これだけなのに。言葉自体はとても単純だ。 ……聞くのが、急に億劫になったんだ。 …………俺は、"何が"欲しいんだ? ……自分でも分からない……。 「……何でも……ない……」 「………………」 急に塞ぎこんだ俺にルツは無言で頭をワシャワシャしてきた。 何だか動物になった気分になる。 「……アサヒ、風呂入ってけよ?」 「うん……そうする」 こういう時は、熱いシャワーに限る。 何故かと言うと、熱さで頭がボウッとしてさ、考えてた事が霞んでいくから。 正直、どうでもよくなるんだ。 答えの出ない問題をとりあえず"どうでも良い"に変換してくれるんだ。 だけど、そうなる前に俺はルツの背中に額をつけた。 「アサヒ?」 「……ちょっと、このままで居て……」 「……何だ?相変わらず変な奴だな……」 「…………ヒド……」 ルツの心音が聞こえてきた。 ルツがここに居るって分かる。 俺は何となく、今はこれで良いのかなと曖昧に思った。 ルツは俺にあんな台詞を吐きつつも、それ以上は何も言わないで昨日の本を読み始めた。 ……なぁ、それって面白いの? 俺はルツに本の事を聞こうかと思ったけど、やっぱり黙っていた。

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