89 / 175
第89話 刹那の共有 -4-
俺はシュトールの答えを受けて、彼を寝かせて脚を開脚させて、その中心に陣取った。
シュトールは俺の移動と自身の体位の変化に少し戸惑いを見せたが、結局何も言わずに受け入れたようだ。
そして俺は対面でシュトールのペニスに指を這わせながら、数度、彼に口付けた。俺の指が触れ、動く度にピクピクとした律動がシュトールのペニスに生まれる。ヌチヌチとした濡れているペニスに、さらに満遍なくシュトールから溢れ出る透明な液体を塗り伸ばし、ぷりぷりとした先端を少し揉む様に楽しむ。
俺のこの行為に嬌声がシュトールから出る前に、俺はそれを唇を重ねる事で相殺していった。
そんな刺激にシュトールのペニスの熱が上がったのを感じた俺は、その行為を止めて彼に声を掛けた。
「……じゃ、シュトールのさ……俺にくれよ?」
「え? アサヒ、どういう……?」
「……んッ……こういうこと……」
「舐め……ひぃぁ……!?」
「ん、んぅ……ん~~……」
「そんな!? 舌で……? ぅ、ぁ……咥えたら……ぁ、あッ! あ! ~~~!!」
今度は俺の口でペニスを扱かれる事に余裕の無い声を上げながら、シュトールは無意識に腰を浮かしてきた。身体をぷるぷると震わせて何とか快楽から抗おうとする様は、今の俺の嗜虐心をくすぐる光景でしかない。
「……まだ、もっと気持ち良いのでイかせてやるよ」
「……ふ……ぇ……?」
―……つぷ……ツププ……
「……あ、やぁ! そこに……指……ッ! ひゃ……ぁ、ああぅ!! ぬッ、いてぇ!!」
「大丈夫、シュトール……ここ、だな?」
俺はシュトールのアナルに先程、彼の先走りでたっぷりと濡らした俺の指をゆっくりと一本侵入させて、前立腺の辺りをその指で押してみた。
「~~~!!!?」
俺のそんな行為にシュトールの腰が先程より僅かに上がり、外側は逃げながら内側は強請る様な動きを見せた。
「あ! ……ゃ! もっと変、に、なる……!」
俺のアナルの中での指の動きにガクガクと脚を広げて、僅かに濡れた泣き声でシュトールが俺に訴えてきた。
「ア、サ、ヒィ……! ん、ぁ、あ……!!」
―……くっちゅ、ちゅぐっちゅぐ……
「シュトール、溢れ出たやつでこんな音を出して……滑りも増してくるよ」
「指ぃ……! あ、あ、あ……!」
「俺の指でイってくれたら、終わりにしようかな? それとも……」
「ぅ、んぁああ……ッ!!」
「指、増やそうか?」
「ふあァ!? ゃあ……ダ、メ……ぇ! 変に……なる……のはぃや……ぁ」
俺はシュトールに囁きながら、彼の中で動かしている指先を"くッ"と動かして、わざと隙間を作るような行為をしてみた。シュトールはその感覚を消す様に、無意識に腰を動かしてアナルを締めてきた。俺の指に輪状の圧が掛かってくる。
シュトールを見れば、涙と涎が出て快楽と苦悶の狭間で戸惑い揺れているのが手に取る様に分かった。
……調子に乗ってあまり可愛がるのも、駄目かな?"酷い"と言われる前に、そろそろ解放した方が良さそうだ。
「……じゃ、あとは口で手伝ってやるよ」
「!? アサッ、ヒ……! ん、んぁあ!!」
シュトールの身体の中心で震えるペニスの裏側から舌を這わせ、先端を包み込み、やがて俺はペニス全体を上下に動かす口内で味わう。熱を帯びて震えているシュトールのペニスに、俺の舌の熱を徐々に加えていく。すると、睾丸が上がってくる感じが、シュトールの射精が近いのを俺に予感させた。
「……んっく……!」
「ぁ、あ、あ~~あぁ~……!? あー……」
「ん、んッ……んん……」
―……ビュグビュグビュグゥウ……! ビュゥ! ビュゥウ……!
「ぁ、アサヒの口の中にッ……出てるッ……! は、ぁ……ッ……ん、ぁあ……! とまん、な……! ~~!」
「ん、んぐッ……ん、んんっ……んぁ……ん……」
俺は口内に放たれたシュトールの魔力混じりの熱い精液を、喉の奥に送り込みながら彼のペニスを最後まで吸った。
「あぁ……あ……」
「んッ、のん、だ」
「あさひぃ……」
「シュトールの……全部、飲んだ……」
シュトールにその事実を告げた次の瞬間、俺は急に横殴りを食らった重い感覚に、右横に肘をついて体勢を何とかキープしようとした。実際、俺は殴られていない。俺の身体の中で、"何か"が暴力的な力で暴れ始めたせいだ。
「……やべ……マジすげぇ……目が回って視界が白く霞む。……こんな感覚、そうそう無いな……」
これは回復するまで少し掛かりそうだ。……力が全く思うようにいかず、身体がバラバラな錯覚に陥っている。
「………………じゃ、こんどは俺がシテやろう」
「……えッ!?」
「……"触りっこ"だろう……?ん?」
少し歯の根が合わない、"カチカチ"とした声色で今の状態を告げ終わると、シュトールは開脚している脚はそのままに上体を起こして俺の耳元で囁き始めた。
そしてその声色はどこか甘い、優越感に浸っている勝者のものだった。
ともだちにシェアしよう!