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 ねっとりした重みと温かさが全身に降り注ぐ。閉店後のせいか客は誰もおらず、聞こえるのは吐息混じりの甘い囁きだけだ。 「店長に見つかったらクビになる……」 「証拠隠滅しとけば大丈夫だって」  ビリヤードの玉が静かに転がった。やがてそれはどこかの穴に落ち、ビリヤード台から姿を消した。

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