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『後日』
「忍さん、ここ綺麗に消えちゃいましたね」
首筋を覗きこみ耳元にソッと囁く。
困ったように視線を反らしファイルをギュッと握る、そんな姿にまで煽られている自分。
誰もいないことを確認し白衣に身を包んだ恋人を院内廊下の壁に押し付ければキッと睨まれた。
「君が痕なんか付けるから、ずっとハイネック着なきゃいけなくて···困ったんだからな!」
声が響かないように小さく抗議してくるのが可愛い。
「だって忍さんホロ酔いでしかも浴衣姿。和室に並んだ布団。抱くなって言うのが無理です。それに、」
「···それに、なんだ?」
言葉を切ればその続きを促される。
言ったら怒るだろうな、そう思うがつい苛めたくなるのは仕方ない。
「それに、忍さんもそのつもりだったでしょう?」
そう言ってクスクス笑えば一気に染まる耳。
ああ、ほんと。
今日も恋人が可愛すぎて困ります、神様。
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