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第14話

  鍵を取り出しながら階段を3階の踊り場まで   上りきった時、   自分の部屋の玄関前に誰かがしゃがんでいるのが   見えた。   思わずビクッと立ち止まった。   え…… 「おせーよ。いつまで待たせんだよ」 「あ、ご ―― ごめん」   夢か幻かなら、さっさと醒めて欲しい。   ほろ酔い加減の俺の幻覚としか思えない   その姿。 「―― まぁ、待ったおかげでかなり濃厚な  キスシーン見られたがな」   と、言いしゃがんだまま大あくびをする。 「一体いつから……」 「来る前はメールくらいしろってか?」   と迫田は立ち上がって、   ツカツカと俺の間近までやって来ると   あからさまに顔をしかめた。 「ったく、飼い主のいない間につまみ食いなんぞ  しやがって……」 「え ―― 彼とはそんな関係じゃ……」  「ない、とでも言うのか? こんなに移り香が  残るような、何してたんだよ」 「だから、彼とは……」 「もういい、さっさと部屋の鍵開けろ」   鍵を開け中に入ると、問答無用でバスルームへ   引きずるよう連れて行かれた。   突然、頭の上から降り注いだ冷たい水しぶきに   びっくりして体を竦める。       「あ、わーりぃ、温度調節忘れてた」   冷たい水しぶきはすぐ温かなお湯へと変わったが、   俺は服を着たままお湯を頭から浴びせられている   この異質な状況に怯え、体を小刻みに震わせ続ける       「念の為に言っておくが、俺は自分のモノを  他の野朗と共有するつもりはない」   「……だけど……」   (結局、お前にとっての俺は”モノ”でしかない)    「ん? だけど、なんだ?」 「……何でも、ない……」   こみ上げてきた涙を迫田に見られまいと、   俯き拳で涙を拭う。       「気に入らねぇな ―― お前が啼くのは俺と  セッ*スする時にだけだ」           そう言うと、迫田は唇を重ねてきた。 「や……っ」   ちょっと前まではこれだけでイケるくらいには   好きだったハズなのに、俺は迫田を力いっぱい   撥ね除けた。 「身体を見せてみろ」 「やだ……」   俺は暴れたが、力では迫田にかなわなかった。   乱暴に服を剥ぎ取られ、脚を開かされると、   いきなり2本の指が俺の蕾に差し込まれた。    「っひ……っ、止めて……!」 「んン ―― 抱かれた後はないな」 「お前と一緒にするな!」   俺は迫田に、乱暴な口調で言った。    「他の男を抱いた手で、俺に触るな!」   荒ぶる感情が俺を支配していた。   彼に逆らったのは初めてだ。    「今夜のりんは可愛くないねぇ……再調教が必要か」 「どうとも好きにすればいい。どうせ俺はあんたの  性奴隷、なんだから」   「ならば、少しはそれらしくしてもらおう」     迫田の手で、喉を押さえつけられると、   俺は息ができなくなった。   迫田の目の奥に残虐な光が走るのが見えた。 「お前は俺のモノだ。分かるまでその身体にたっぷりと  叩き込んでやる」   迫田は洗面台に置かれたハンドタオルを、   俺の口に押し込むと、年の割りには華奢な   俺の身体へ覆い被さっていった。   何度も貫かれ、俺は自分の身体が軋むのを   感じていた。   それでも迫田は俺を乱暴に貫き続けた。   バスルームの壁のタイルに背中を凭れかけて、   俺は迫田に抱えられながら、突き上げられる。      両脚を迫田の腰に巻き付け、   耳に聞こえるのはじゅくじゅくと混じり合う   淫猥な水音と、迫田の吐息、   そして口をタオルで塞がれた俺の   声にならない泣き声だった。   もう何も考えたくなかった。   めちゃくちゃにして欲しかった。   誰かと繋がっている事だけが、   今の俺に生きてるって実感を与えた。   血が出るほどに苛まれながら、   俺はいつしか快感に身を委ねていた。

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